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トラウマシーンの宝庫! 『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』超残酷っぷりを検証

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映画『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984)はトラウマシーンの宝庫!
映画『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984)はトラウマシーンの宝庫! 写真提供:AFLO

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スティーヴン・スピルバーグ

ジョージ・ルーカス

ハリソン・フォード

高橋ヨシキ

 『インディ・ジョーンズ』は「大人も子供も楽しめる、めくるめくアドベンチャー映画」であると同時に、一作ごとにさまざまな悪趣味、バリエーション豊かな残酷を見せてくれるシリーズでもある。ワクワクするような物語にぎょっとするような残酷がヒョイと顔を覗かせる感覚は『インディ』のオリジンの一つでもある『007』シリーズとも通底するものであり、また後述するように1950年代から60年代にかけて人気を博したパルプ雑誌の下世話な想像力とも結びついている。今回はそんな『インディ』シリーズの中でも屈指の悪趣味さを誇る『魔宮の伝説』にちりばめられた数々の残酷を検証してみたい。

【写真】ゲテモノ料理、地下神殿の残酷儀式 『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』トラウマシーン

■『レイダース』も『魔宮の伝説』も最初の大残酷は串刺しによる死

 『魔宮の伝説』は上海のナイトクラブで幕を開ける。マフィアと取引にやってきたインディは毒を盛られ、敵の手中にある解毒剤を奪おうとして大乱闘を巻き起こす。この場面でまず犠牲になるのは、給仕にふんして脇を固めていたインディの中国の友人ウー・ハン(デヴィッド・イップ)。シャンパンを開栓する音にまぎれて、マフィアのボス、ラオ・チェの息子チェン(チュア・カー・ジョー)が凶弾を放ったのだ。ウー・ハンの死の場面は短いながらも感動的で強い印象を与えるものだ。なお、その後飛行場に着いたインディにダン・エイクロイドふんする英国軍人ウェバーが「3人分の席をなんとか確保できました」と言うとき、それがもともとインディとショート・ラウンド、それにウー・ハンのための席だったことが分かるのも悲しい(ウー・ハンとインディの冒険行については小説版『インディ・ジョーンズ/巨竜の復活』を参照のこと)。

『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984)冒頭シーン 写真提供:AFLO
 毒薬で朦朧(もうろう)としつつも、インディは手近のワゴンにあった火のついた串料理をチェンに投げつけて仇をとる。これが『魔宮の伝説』最初の残酷シーンで、映画が始まってからわずか8分あまり。シリーズ1作目『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』でも、最初の超残酷シーンはポーターのサティポ(アルフレッド・モリーナ)がチャチャポヤン寺院のトラップで、やはり串刺しになって死ぬところだった。

■石像にくくりつけられていたのは切断された人間の指

 紆余曲折を経てインドの小さな村に流れ着いたインディ一行は、彼らに懇願されて村から奪われたシャンカラ・ストーン=シヴァリンガを取り戻すべくパンコット宮殿へと向かう。その道すがら、ジャングルの中で不吉な道祖神のような石像をみたポーターたちは恐怖にかられて逃げ帰ってしまう。ひょんなことから同行することになった上海のナイトクラブ歌手ウィリー・スコット(ケイト・キャプショー)と、本作におけるインディの助手のショート・ラウンド(キー・ホイ・クァン)に対し、インディは石像に近づかないよう制止する。それもそのはず、石像には生き血がべっとりとついており、さらに切断されたばかりと思われる人間の指が紐で数珠つなぎにされて巻きつけてあったのだ。筆者はこの場面を初めて映画館で観たとき、それが切断された男性器ではないかと思ってがく然としたが、よく見ると爪がついているので間違いなく人間の指である。

『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984)ジャングルの中の石像発見シーン 写真提供:AFLO
 インディに先行してチャチャポヤン寺院で犠牲になった考古学者フォレスタルのものも含め『レイダース』にはミイラ化した死体が大量に登場するが、『魔宮の伝説』ではこの場面の指のように、より生々しい「破損した人体」が登場して観客をぎょっとさせる(『レイダース』ラストの顔面大破壊がシリーズ最大のウルトラ残酷シーンであることは論をまたないが)。

■パンコット宮殿のゲテモノ・ディナー そして、ぐるぐる絞首刑

 ジャングルをくぐり抜け、悪のサギー教が支配するというパンコット宮殿に到着したインディたちは、予想に反して丁重なもてなしを受ける。といっても、豪華絢爛なマハラジャの宴で供される食べ物はどれもゲテモノばかり。大蛇ボアコンストリクターの腹に子ウナギを詰めた「スネーク・サプライズ」、茹でた甲虫「クリスピー・クレオパトラ」、羊の目のスープ、デザートは、サルの生首をそのまま容器に使った脳ミソのシャーベット。スピルバーグとルーカスはこのゾワゾワするような悪趣味なメニューのアイディアを大いに楽しんで考案したという。

『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984)ゲテモノ料理のコースが振る舞われるパンコット宮殿のディナー会 写真提供:AFLO
 ようやくディナーを終えて部屋に戻ったインディに、壁画に紛れ込んでいたサギー教徒の暗殺者が襲いかかる。間一髪、鞭(むち)で相手を倒すインディだが、天井のファンに鞭が絡まってしまい、暗殺者はぐるぐると巻き上げられて絞首刑のようになってしまう。天井のファンを使った残酷シーンはスピルバーグの『ミュンヘン』にも見ることができる(こちらでは、爆破テロで吹き飛ばされた腕がファンに引っかかってぐるぐると回り続けていた)。

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