木村拓哉、初の海外ドラマ現場で“粋な気遣い” 「これが本当のプロフェッショナル」とプロデューサー絶賛
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それは、ミフネのオフィスのシーンの撮影でのこと。2日間かけて、ビデオ通話のシーンを撮影したり、グリーンバックで背景を変えたり、さまざまなことをこなさなければいけないスケジュールだった中で、木村の控室は、撮影現場から離れたところに用意されていた。通常は移動も含めて撮影現場まで30分かかる場所だったそうで、これではかなりのタイムロス。そこで木村は動いた。
「撮影が終わった後、彼が控室に行ってから5分後くらいに、すぐメイクさんと衣装さんを引き連れて撮影現場に戻ってきて、『控室を用意してくれるのはとても感謝しているけど、行ったり来たりする時間がもったいないから、撮影場所にスペースを用意してくれればそこでメイク直しや着替えをするよ』と言ってくれたんです。セットの隅の方に椅子を置いてカーテンをかけてスペースを作り、そこでメイク直しや着替えをしてくれたので、5分で衣装替えができるようになり、そのおかげで色々なアングルでの撮影や、監督と共に演技を深めることができました」
「普段、大スターと仕事をしている自分の経験からすると、作品や演技がどうこうというよりも、自分がどう扱われるかの方が大事という人は結構いますが、木村さんは全くそうではありませんでした。自分がやりやすい環境にこだわるのではなくて、時間を無駄にせず、より良い作品を作りたいという思いからこのような提案をしてくださり、これが本当のプロフェッショナルだなと感心しました」とドルジャーは振り返る。
また、ドルジャーは、木村の演技を見て、ハッとさせられたことが3つあったそう。それは「1つ目は年齢を重ねていて大人の成熟した権威を表現できる感性、2つ目は知性が感じられること、最後はスクリーン上の存在感でした」と話し、ミフネという役を演じきり、他のキャストとも良いバランスを保っていたという木村との仕事を「とても素晴らしかったです」と語る。さらに「彼のためにミフネというキャラクターを作ることができて本当に良かった」と満足げな様子を見せた。
■本作で伝えたかったこと
プラスチックごみなどによる海洋汚染や、温暖化による生態系の変化など、さまざまなニュースが絶えない、海の環境問題。本作は、それらをエモーショナルなドラマを用いて掘り下げていき、暴走する海の世界をスリリングに描く。しかし、見ているうちに、実はそのモンスターは、海の中に潜んでいるのではないと気付かされることになる。第1話からすでに、戦慄が走る展開が待ち受けているが、本作で伝えたいのは、「気候変動や海を守るために、われわれ全員が行動することができる」ということだとドルジャーは語る。
「今まで皆さんが環境に対してどう振る舞ったのかは別にして、本作を見ることで、環境に対してまた違った向き合い方ができるようになればと思っています。若い世代の中には、環境に対するダメージがあまりにも大きすぎて、『希望がないんじゃないか』『もう何をしても無駄なんじゃないか』と思っている方もいると思いますが、まだまだ私たちにもできることがあると感じてもらえればうれしいです」。(取材・文=阿部桜子)
Huluオリジナル『THE SWARM/ザ・スウォーム』は、Huluにて3月4日より独占配信開始。