東出昌大、逆境との向き合い方は「戦わない」 騒動を経た心境を語る
18キロ増量した役作りも話題となったが、手応えを感じた時期を尋ねたところ、「ちょっと待っててくださいね」と突然階段を駆け上り、タブレットをとって来てくれた。
「これ、クランクイン前に劇中で使用するために撮った写真です。みなさん、当時の僕を見て金子さんだと言って盛り上がってくれて、増量の役作りはその時点で達成できたかなと思いました。と同時に、金子さんの身体の揺らし方や腕を組む仕草、裁判中とかに不当な言われ方をしたときに顔をしかめたりする仕草など、壇先生やご遺族から聞いて、1ヵ月間、金子さん的な振る舞いや内面の理解を深めていきました」。
(C)2023 映画「Winny」製作委員会
劇中で天才性が感じられるのが、笑いのタイミングやポイントのちょっとしたズレ感だ。
「金子さんは、かわいらしいところと、危なっかしいところがあると、いろんな方がおっしゃっていて。拘置所から出てきた時に空を眺めているんですけど、実際にそういう方だったらしいです。天才性と無防備さ、危なっかしさのアンバランスさは、狙ったところもあります。でも、憑依と言ったらおこがましいですが、現場にいるときはずっと金子さんとしていようと思っていました」。
自分と重なる部分は全くないと言いつつ、影響を受けた部分は大きいと語る。
「金子さんの人間性が僕はすごく好きで。人の悪口も不平不満も言わなくて、すごく純粋で。金子さんを知る人は、みんな金子さんのことが大好きなんです。僕も、お芝居も東出という実人生の生き方も、そうありたいなと思う部分・勉強になった部分がありました。もしかしたら今も金子さんの人間性が僕の中にいるかもしれないです。不平不満とか、人の悪口とか言わないようになっているので」。