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宮藤官九郎「いつか“本当の歌舞伎作家”に」 多くのヒット作生み出す男の夢と理想とは

映画

■いつか本当の歌舞伎作家になれる日が来たら……

 宮藤と言えば、舞台や映画、ドラマの脚本家として数多くのヒット作を世に送り出している。さらに俳優、監督業などマルチな活躍をみせている。そうした仕事と歌舞伎は地続きなのだろうか。それとも全く別物なのか。

 「地続きでやりたいと毎回思うんですよ。今回は特に、いつもの気心の知れたスタッフではなく、歌舞伎のスタッフさんの力を借りたいと思っていたのですが、専門用語を含めて常識が全く違うんですよね。やっぱり不安で、今回も(大人計画のメンバーである)荒川良々くんを連れていってしまいました。早い段階で彼に出てもらうと安心なんです。それでも今回音楽は、歌舞伎の下座の方々とやり取りをして作らせていただいたんです」。


 驚いた歌舞伎界の常識とはいったい、どんなところなのだろうか――。

 「稽古だけでどんどんできてしまうすごさ。歌舞伎座の上に稽古場があるのですが、舞台に出ている俳優さんたちが、自分の出番が終わると稽古場に来て、稽古して、また夜の部に出たり……。僕らの感覚だとまったく考えられない。本当に稽古を始めるとすぐに出来上がってしまう。あとは本番まで衣裳を着ないとか、履き物も履かないし、バミリもないとか、細かいことをあげればきりがないです」。

 幼少期から稽古を重ね、体に染みついている歌舞伎俳優、そしてプロフェッショナルな裏方。「とにかくついていくのがやっと」という宮藤だが、いつかは宮藤が単身で乗り込み、歌舞伎チームと演目を作り上げるのが夢だという。

 「ある意味で理想です(笑)。でもどうしても4~5年とか期間が空くので忘れてしまう。いまだに浄瑠璃と義太夫の違いも『どう違うんでしたっけ?』と聞いてしまう。あとは、俳優さんがみんな自分自身を演出できる。俳優さんが直接『ここで三味線入れて』みたいなことを言える。僕らはやっぱり楽をしているなと思います。演出家の言うことを聞けばいいので。でもこの年齢になって、新しいことをやれるというのは楽しいし、いつか本当の歌舞伎作家になれる日が来たらいいいですね」。

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■新作も続けていけば古典になる

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シネマ歌舞伎『唐茄子屋 不思議国之若旦那』予告

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