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松坂桃李、15周年を迎えた俳優人生は無我夢中 大切にしてきたのは“柔軟であること”

映画

◆“時代劇”だと距離感を持って観てほしくない


映画『雪の花 ―ともに在りて―』場面写真 (C)2025映画「雪の花」製作委員会
 松坂にとって本作は『居眠り磐音』以来、5年ぶりの時代劇挑戦。「時代劇というカテゴリーでくくってしまうと、観る方にとって距離ができてしまう。特に今回は実話を基にしたお話なので、距離感を持って観てしまうと、『こういうことがあったんだな』と歴史の教科書を見るような感じで終わってしまうかもしれない。でも、監督もおっしゃっていたんですけど、歴史があるから今があって、ちゃんとつながっている。当時の人たちがいろんなことを成し遂げたからこそ、今の人たちの時代がある。そこを分けて見てしまうとすごく損だと思うんです」と思いを吐露。「本作は、コロナを経験した今だからこそリンクするところもあります。作品にも描写として出ていますけど、天然痘に罹った人を隔離するんです。コロナも隔離したじゃないですか。同じことをやってるんです。時代って本当に繰り返されるので、その中で、未知のものに対して人間って同じような恐怖や不安を抱いたりする。だからこそ、本作を“時代劇”と距離感を持って観てほしくないんです」と熱く伝える。「演じる僕自身としても時代劇だからといって意識しすぎないよう、フラットに笠原良策という人物とちゃんと向き合うことを意識しました」。

 演じる良策は、まっすぐひたむきに、志高く医師としての使命に邁進した人物だ。笠原良策という男からは「一人じゃ何もできないということ」を学んだと語る。「サブタイトルに『ともに在りて』とあるように、共にいてくれる人がいるからこそ、何かを成し遂げることができる。無名な町医者がこれだけのことを成し遂げるって難しいことだと思うんです。そんな中で、良策には献身的な妻がいて、師がいて友がいる。いろんな人たちの支えによって、多くの人たちの命を救うことができた。改めて、一人じゃ何もできないなということを実感しました」と口にする。


 良策を献身的に支える妻・千穂を演じた芳根は「撮影の前から太鼓の練習を重ね、腕にテーピングをぐるぐる巻いていました。そういう努力を微塵も見せず、現場では明るい笑顔で振るまってくれた芳根さんの姿に千穂とリンクしているところを感じました」と信頼を寄せる。

 また、良策の師匠である蘭方医・日野鼎哉を演じた役所広司とは、『孤狼の血』『VIVANT』など共演も多いが、「今回の現場で役所さんが初めて衣装で出てこられたときは、『赤ひげが来た!』って思いました」と笑う。「それくらいの迫力と説得力、そして慈愛に満ちた空気をまとって僕と対面してくださって。『利を求めず、名を求めず』という日野先生のセリフがありますが、良策プラス僕自身にくれた言葉のような、役を飛び越えた感情をくれました」と感謝する。

 実在の人物を演じることには緊張感もあるという松坂。「資料を読み込み、監督と僕で想像を膨らませて演じる大変さはあるんですけど、共演者の皆さんとお芝居をさせてもらうことで引き出してもらえることも多いんです。あとは『素直に演じてくれれば』という監督の言葉にもつながるのですが、本読みを入念にやり、相手のセリフを聞いたことで、自然と出てくる言葉や表情が正解につながる。台本をたくさん読み、良策と自分が向き合う時間をしっかりと作った結果がこれにつながった」と、みんなで作り上げた良策像に手ごたえを感じている。

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◆15周年を迎えた俳優人生  “柔軟さ”はなくてはならないもの

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