三山凌輝&久保史緒里、アーティストであり俳優という共通点 グループに寄せる想いに共鳴

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新堂冬樹の同名小説を映画化した『誰よりもつよく抱きしめて』(2月7日公開)で、ダブル主演を果たした三山凌輝と久保史緒里。想いを寄せ合いながらも“触れることすらできない”という恋人たちのもどかしさや痛みを見事に体現し、深い愛の物語へと観る者を誘う。心の奥底までを表出させることが必要となる作品、役柄だけに、内田英治監督を交えてたくさんのコミュニケーションを重ねながら難役を演じきったという彼ら。アーティストでもあり、俳優でもある2人が、お互いへの共鳴、今感じている俳優業の醍醐味を熱っぽく語り合った。
【写真】三山凌輝&久保史緒里、カッコよくて美しい!インタビュー撮りおろしショット
◆三山凌輝、久保史緒里の言葉に「泣きそう」
本作は海沿いの街で同棲する、絵本作家の水島良城(三山)と書店員の桐本月菜(久保)を主人公とした珠玉の恋愛物語。良城は強迫性障害による潔癖症で、常にビニール手袋着用で生活し、一緒に暮らす月菜の手すら触れることができない。月菜は彼の病気を理解しつつも、自分の揺れ動く心に思い悩んでいる。相手を愛するがゆえ、2人がそれぞれに苦しみを抱える日々。そんなある日、韓国人の青年イ・ジェホン(ファン・チャンソン)が現れ、月菜にまっすぐな想いを向けていく――。監督を、『ミッドナイトスワン』や『サイレントラブ』などの内田英治が務めた。
――とても辛い状況に置かれる2人を、切実さと共に演じています。オファーを受けて、ぜひやってみたいと思った理由から教えてください。
三山:脚本をいただいて、キラキラとしたラブストーリーとはまた違った、人間の心を描いたヒューマンストーリーだなと感じました。観る人によって見え方も変わってくる作品だなとも思い、観客の方々に委ねられる作品である点にも惹かれました。辛い状況に置かれる役柄ではありますが、キャラクターの痛みや苦しみにきちんと向き合い、寄り添っていくというのは、俳優として大事な仕事。そこに躊躇することなく、チャレンジしていきたいなと思いました。
久保:どこか「言わないことが美徳」という雰囲気もある現代において、これだけ登場人物の全員が、お互いや自分の本質と向き合って、言葉にしていくという作品はなかなかないのではないかと感じました。挑戦的な役柄だとも思いましたが、内田監督のもとで撮影ができるというのは、自分にとってはものすごく大きなことです。私をこの世界に引き入れてくださった方なので、内田監督とまたご一緒できるというだけでも「絶対にやりたい」という気持ちになりました。
映画『誰よりもつよく抱きしめて』場面写真 (C)2025「誰よりもつよく抱きしめて」HIAN /アークエンタテインメント
――アーティストとして活動されている時のオーラを封印し、生きづらさを抱える良城を演じた三山さん。良城への想いと、悲しみの間でもがく月菜の葛藤を体現された久保さん。劇中では、こうしてお話を伺っているお二人ともまったく違う表情を目にすることができました。お互いからご覧になって、イメージや素顔とのギャップに驚いたことはありますか。
三山:芯の部分では、久保ちゃんと月ちゃん(月菜)には似ている部分があるのではないかと感じています。人間って誰でも繊細なものだと思いますが、月ちゃんの繊細さや選択の仕方、感情の表し方など、月ちゃんを演じるのは、やっぱり久保ちゃんだったんだと思うような瞬間ばかりで。それと同時に、楽屋では明るくフレッシュにお話をしてくれて、「あまり心を開かないタイプだけれど、今回はなぜか開いてしまう」と言ってくれたのがすごくうれしかったです。僕は最初から、壁がまったくないタイプなんですが(笑)、僕が話したことに対して受け入れてくれる心の持ち主である久保ちゃんに感謝しています。
久保:三山さんはアーティストとして活動している時のオーラがものすごいので、表面的な見方としては、よしくん(良城)とはまったく違いますよね。これほど振り幅のある役柄を演じるというのは、とても大変なことだったのではないかと思います。また三山さんは、人に対して壁がない方であるのと同時に、人を傷つけずに生きている方だなと感じています。誰も傷つけず、誰も置いていかないということを意識せずともできる方で、そういったところは月ちゃんがよしくんに惹かれた理由にも重なる部分があるなと。こちらこそ、よしくんは、三山さんだからこそ演じられた役だなと思っています。
三山:泣きそうなんだけど!
久保:嘘だー!(笑)
三山:お互いによしくん、月ちゃんに出会わせてもらって、自分の本質とリンクさせながら昇華することができたと思えるような作品になったのかなと思います。役としてもそうだし、自分自身の心の底に持っているものを理解し合いながら、進めていけた現場でした。