丸山隆平「覚悟もあった」 40代で迎えた主演映画『金子差入店』で新たな“顔”を見せる

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SUPER EIGHTの丸山隆平が主演する映画『金子差入店』が5月16日に公開。本作で丸山が演じるのは、刑務所や拘置所に収容された人への差し入れを代行する「差入屋」。差し入れのルールを熟知し、時にはさまざまな事情から面会に行くことができない人たちの代行も行う仕事だ。そんな差し入れ店を営む家族と、彼らが巻き込まれる不可解な事件を描くヒューマンサスペンス作品で、丸山は人に言えない過去を抱え、息子のために生き直そうとする主人公・金子真司をリアルかつ情感豊かに体現。初の父親役にも挑んだ彼が撮影を振り返り、本作への思い、そして父からもらった言葉も明かしてくれた。
【写真】 丸山隆平「俺、こんな顔してたんや」 役者として新境地を開拓! 撮りおろしカットギャラリー
■丸山隆平の役作りとは? 「日常からどんどん自分が役に侵食されていくのが理想形」
『東京リベンジャーズ』などで助監督を務めた古川豪の長編映画初監督作品となる本作は、脚本完成まで11年かけて試行錯誤したという並々ならぬ思いが詰まった一作。ゆえに、丸山は演じる“差入屋”金子真司に監督自身が投影されていると思い、クランクイン前から監督と会話を重ね、お互い出生や環境、これまでの歩みを知ったのだという。後にそれは丸山にとって「役作りの一つだったよう」と古川監督は振り返り、丸山も「自分にとって有効な養分でした」と語る。完成を観て「俺、こんな顔してたんや」と思ったという丸山。監督が生み出そうとした主人公・金子真司という人物が、丸山本人さえも新鮮に感じた自身の新たな“顔”で体現されている。
――本作での主演、そして主人公・金子真司を演じることが決まったときのお気持ちを聞かせてください。
丸山:こういったヒューマンドラマ作品への出演は少なかったので、一つ挑戦だなと思いました。それと、古川豪監督の長年の思いや日本の「差入屋」という職業に対してのカルチャーをどう切り取るかということも含め、いろいろな思いやメッセージ性が詰まっている作品に参加させていただけるのは、とても光栄なことだなと胸を躍らせました。ただ、そうした思いをしっかりとキャッチして、こちらも打ち返さなければいけないというプレッシャーや責任感も大きかったですね。金子はアウトロー、社会に反したことがある人間で、物語のなかで彼の性質とそうなった理由がひもとかれていくんですが、僕自身、こうした役に向き合うことへの40代の一つの覚悟みたいなものもありました。
映画『金子差入店』場面写真 (C)2025映画「金子差入店」製作委員会
――丸山さん自身、「差入屋」という職業は知っていましたか?
丸山:知らなかったので、テーマとして興味深かったです。とても日本特有の職業だなと感じました。刑務所・拘置所によってルールが違って、差し入れ店はそのルールに沿ったノウハウを覚えて仲介を行うんです。場所によってルールが違うことも全く想像してなかったですし、差し入れられるものに決まりがあったり、そういう店のサイトでは差し入れられるものがAセット、Bセットみたいに載っていたり、思っている以上に面会を取るのが難しかったりもするんです。改めて「差入屋」の勝手を知ると、確かにこれは一般の人はすぐに対応できない難しいものなんだなと思いましたし、映画のキャッチコピーでも“差し入れるのは、小さな希望。”と言っているんですけど、物理的なものだけじゃない、いろいろなものを差し入れてるんだなということも分かりました。もちろん、この作品の中では被害者の方がいるということにも目を向けているので、全て地に足のついたとても質のいい作品だなと思いました。
――今回の役に取り組まれる上で、どのような準備をされましたか?
丸山:毎回試みていて、自分の中ではルーティーンになっているんですけれど、「今日1日、金子で過ごそう!」みたいな“ごっこ”的な感じで、日常の中に役を共存させて体現することをやっているんです。それをオフの日や現場に迷惑かからない日にやって、頻度を増やしていくなかで、人と接している時にいつもと違う自分が出てきたら、「これ、金子かな?」と感じるというか…。そんなふうにどんどん自分が役に侵食されていくのが、僕の理想形ですね。それがわかりやすかったのは、酔っ払っていた時。そうした一番自分の素が出るような時に何かに引っかかって言葉を発して、「あれ? いつもこんな言い方してたっけな?」と感じることがありましたね。僕と金子がミックスされたように生きていた時期の沸点は低めで、法的に問題のない範囲内でつっかかり癖がありました(笑)。それと、撮影に入る前に監督とお話しする時間があったので、役の解釈にズレがないかを確認して微調整しながら自分の中で育てていくことができました。
丸山隆平 クランクイン! 写真:高野広美