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『JUNK HEAD』堀貴秀監督「自分の映画を新しいジャンルとして確立したい」 実写×コマ撮り作品の構想も

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■異国インドで得た「悟り」


映画『JUNK WORLD』場面カット (C)YAMIKEN
――今回の『JUNK WORLD』では登場人物の「姿」がどんどん変わったり、時間を思い切り描き飛ばす感覚が神の目線っぽくて面白かったです。監督は若い頃にインドに旅行されていますが、そこで「悟り」的な感覚を得た……なんてことはありますか?

堀監督:インドには20代の頃、半年ほど滞在しましたが、死体が普通に町中に転がっていて、橋を渡ったら何体も積み重なっている。そんな光景も見ました。そこで旅行者が置いていった「葉隠」ってボロボロの古本を買ったんですよ。昔の武士の心得を書いた本で、すごい衝撃を受けた。しかも、その時に居た場所が「釈迦が悟りを開いた」ブッダガヤで。ある晩、「俺は50歳で死ぬ」と決めたんです。「それを踏まえてこれからは生きよう」と。『JUNK WORLD』の主題は「生と死」でもあるし、インドでの体験は少なくとも僕の常識を変えましたね。

映画『JUNK WORLD』場面カット (C)YAMIKEN
――『JUNK WORLD』に登場する変異生物は、『遊星からの物体X』(1982)のようにユニークかつ、グロいですが、同時に進化する生命力のたくましさを感じます。

堀監督:あの世界全体が持つ「生き延びる力」ですね。個々の努力が全体を引き上げるし、小さな死があっても、それをずっと悲しんではいられない。そんな世界観を描いています。

――監督はずっとご自身の作品に対する評価と対価を見極めながら、絵画、人形、立体物造形、内装を手掛け、さまざまな経験を積んで映画を撮られました。ちょうど『JUNK WORLD』同様、長い時が巡ってひとつの成果が結実する、そんな感じがします。

堀監督:僕は人付き合いが苦手で、絵も仕事も人に聞くのが嫌で、万事独学で試行錯誤するスタイルでした。人との関わり方や感情表現を教えてくれたのも、案外映画だったかもしれません。

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■堀監督が思考する「ものづくり」の未来

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