松本伊代、デビューから変わらぬ歌への思い 還暦で迎えるライブは「“Sweet”なものに」
――松本さんは、スカウトされて芸能界入りしたので、それまで歌のレッスンをされていたわけじゃないんですよね。
松本:全然なかったです。でもなぜかアイドル歌手に憧れて、オーディションとか受けていたんですけど(笑)。全然ダメで、そんな時にたまたまスカウトされて、本当にラッキーでした。そこから、歌のレッスンをしたり、ダンスレッスンしたりが始まりつつ、またオーディションを受けさせてもらって、『たのきん全力投球!』でトシちゃん(田原俊彦)の妹役に受かって。それと並行しながらレッスンをしてデビューするぞっていう感じになったんです。
最初は、本当に大人の方たちがすごく力を入れてくださって「伊代を売るぞ!」っていう感じでした。みなさん頑張ってくださっていたので、それに応えられるように頑張ろうという感じと、これで売れなかったら申し訳ないなという気持ちの両方がありました。おかげさまで「センチメンタル・ジャーニー」が売れたことで、よかったな、しばらくは歌えるかなっていう感じはありましたけど。そこから45年続けるとは思わなかったです。
――松本さんにとって「歌」とはどういう存在ですか?
松本:歌は自分にとって主となるものというか。原点じゃないですけど、歌でデビューしたから、歌は主にしていたいお仕事でした。デビューからしばらくは、事務所にドラマ班もあったのでドラマや映画もやりましょうみたいな感じになり、「え、え、演技ですか!?」みたいに思っていました(笑)。もちろん、それはそれで楽しかったですし、とても良い作品に出させていただいていたのですが、ある時「あれ?このままいくともしかして、脱いでください!とかあるかな?」と思って(笑)。それで「もう映画はいいです」と、お芝居から遠のきました。そこで、やっぱり歌が好きなんだなって改めて実感しました。
――ご結婚後、ご出産をされて、音楽活動から離れた時期もありました。
松本:20歳を過ぎた頃に「センチメンタル・ジャーニー」を歌いたくない時期があって、コンサートでも「センチメンタル・ジャーニー」を歌わずにお客様を帰してしまったこともあったんです。そういうのを後悔し始める時期でした。
お仕事もそんなにしていなくって、復帰してもバラエティーのお仕事がメインという時に、歌番組で歌ってらっしゃる方々を観て、みなさんご自分の代表曲を歌ってらっしゃったので、そういうふうにして歌うこともできるんだなと、ちょっと客観的に見ることができたというか。私もせっかくヒット曲があるんだから、もし歌のお仕事が来たら、絶対、歌おう!って思って、そこからまたちょっと歌っていこうという感じになっていきました。
――「センチメンタル・ジャーニー」は、若いアイドルの皆さんが歌われたりと、アイドル界のスタンダード・ナンバーとも言える曲になりましたね。
松本:もっと歌って!って思ってます(笑)。やっぱりうれしいですよね、歌がそうやってどんどん残っていくのは。「あ、この人が歌ってたんだ」って思ってもらえるような、何年後かにそういう存在であったら、それはそれでいいかなって思っています。
――それでは、松本さんにとって「ライブ」とは?
松本:来てくださったお客様に一緒に楽しんでもらって、お帰りになっていただくというか、皆さんと一緒に楽しい時間を過ごす場所です。私の歌だけを聴きに来てくれたお客様なので、その方たちの思いを大切にしながら、楽しんでもらって帰ってもらいたいなっていつも思っています。素敵なミュージシャンの方たちばかりなので、その方たちの音楽を聴いてくださるだけでもすごく楽しんでいただけると思います。
――そんな松本さんの思いが詰まった今回のライブ。改めて見どころを教えてください。
松本:かわいい曲で攻めたいと思っています。昔のアルバムの曲も全部素晴らしくて、ファンの方からリクエストを募るとアルバムの曲をリクエストしてくださることも多いんです。そういう曲も今回は歌いたいなと思っています。
いつも私は参加型というか、強制的にみなさんに振りとかやっていただくんですけど、みんなと一緒に歌って踊って楽しむライブにしたいです。あと今年は赤がテーマだったりするので、赤いものを振っていただきたいなとも思っています。