本渡楓×種田梨沙×衣川里佳『ゾンビランドサガ』4年越しに描くフランシュシュの軌跡
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――これまでの歩みを振り返り、フランシュシュはどのように成長したと感じますか?
衣川:1期の頃は、それぞれが自分の過去と向き合うことに精一杯だったと思います。けれど2期になると、仲間の悩みに寄り添い、互いに支え合う姿が自然と増えていきました。そうして考え方や視野が広がり、個々の物語から“グループ”としての物語へとシフトしていったんです。
そして劇場版では、ついに全員の心がひとつの方向を向いたと強く感じました。まさに「ひとつのチーム」として走り出した瞬間だったと思います。
種田:今回の映画を見て、本当に“家族”のような存在になったと実感しました。単独で動くことはほとんどなくなり、何をするにも「まずはみんなで相談しよう」と自然に報連相が生まれるようになった。信頼関係があるからこそ、とっさの判断も安心して任せられるんです。
そして、喜びも痛みも7人で分け合えるようになった。ひとりの痛みは“7分の1”に軽くなり、ひとりの喜びは“7倍”に膨らんでいく。そんなふうに成長したフランシュシュだからこそ、劇場版では思わず笑って、そして泣いてしまいました。
本渡:あとは、歌の役割分担にも成長がはっきり表れていると思います。いまでは「このパートは○○ちゃんかな」と想像すると、その通りにピタッとハマる。最初は誰にも予測できなかったことなのに、それぞれの個性が歌声にしっかり宿っていて、ファンの皆さんにも自然と伝わっているんじゃないかなと感じます。
そもそも私たちはセリフのオーディションから始まったので、歌がここまでキャラクターの色を濃くしていくなんて当時は想像もしていませんでした。スタッフの方々が試行錯誤を重ねて歌割りを考え、私たちキャストも全力で応えてきたので、その積み重ねと歴史があるからこそ、今のフランシュシュがあるんだと実感しています。
劇場版『ゾンビランドサガ ゆめぎんがパラダイス』場面写真(C)劇場版ゾンビランドサガ製作委員会
――みなさん自身がフランシュシュに“育ててもらった”と感じることは?
衣川:私は昔からあがり症なんです。でもこの作品を通してライブなどにも立たせていただき、仲間やスタッフの皆さんに支えてもらいながら少しずつ克服できてきました。
今でも緊張はしますが、それでも「伝えたいことをちゃんと伝えられる自分」に成長できたのは、間違いなくフランシュシュのおかげです。
種田:私にとって大きな支えになったのは、愛ちゃんの「失敗してもいい」という言葉でした。平成のトップアイドルである彼女でさえ失敗をする。でも、その先に成長した自分がいればいい。その前向きさは、ネガティブ思考の強かった私にはなかった発想で、本当に救われました。
そして『ゾンビランドサガ』という作品自体もまた、「諦めない」「一度死んでも這い上がる」という強さを持っていて、今でも私の心を支え続けてくれています。
本渡:『ゾンビランドサガ』に出会って、初めて「歌うことってこんなに楽しいんだ」と心から思えました。もともと音楽に触れる生活をしてこなかったので、歌やダンスに挑戦するたびに周りのキャストの皆さんの表現力に圧倒されて、尊敬する気持ちでいっぱいでした。でも一緒にライブを重ねていくうちに、「私もそうなりたい」「もっと頑張りたい」という想いが自然と芽生えていきました。
さくらもまた、“素人から夢を追いかける女の子”で、仲間と共に成長していく姿は、私自身と重なる部分がたくさんあります。いまではお風呂でも口ずさむほど、歌が日常の一部になりました。それは間違いなく『ゾンビランドサガ』が私を育ててくれた証だと思います。
――最後に「フランシュシュらしさ」をひとことで表すなら?
衣川:「七転八起」。何度転んでも必ず立ち上がる。その姿こそがフランシュシュだと思います。失敗も苦悩も抱えながら、それでも前を向いて進む。その強さが、真っ先に心に浮かびました。
衣川里佳
種田:私は「不屈の精神」です。生きていようが、死んでいようが、とにかく諦めない。その大切さを、彼女たちはテレビシリーズから劇場版まで一貫して見せてくれました。そして同時に、観る人に“勇気”を与えてくれる存在でもある。前向きな言葉がこれほど似合うグループは、フランシュシュ以外にいないと思います。
種田梨沙
本渡:私にとっては「生きる」です。彼女たちは死んでいる存在なのに、生きている私たち以上に夢や希望に満ちて、生き生きと輝いている。命の尊さはもちろんですが、それ以上に「心が生きる」ことの大切さを教えていただきました。演じていると心が燃えるように元気をもらえるし、この作品そのものが“生きる力”を分け与えてくれる存在だと実感しています。
本渡楓
(取材・文・写真:吉野庫之介)
劇場版『ゾンビランドサガ ゆめぎんがパラダイス』は、10月24日より全国公開。