『ダーウィン事変』はなぜ「考えざるを得ない」のか 種崎敦美&神戸光歩が語る“ヒューマンジー”のリアル
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1月より放送開始となるテレビアニメ『ダーウィン事変』の原作は、講談社の月刊コミック誌「アフタヌーン」にて連載され人気を博している、うめざわしゅんによるヒューマン&ノン・ヒューマンドラマ。人とチンパンジーの間に生まれた“ヒューマンジー”チャーリーが、「テロ」「炎上」「差別」など“ヒト”が抱える問題に向き合う姿を描く。このたび、主人公・チャーリー役の種崎敦美(※崎=たつさき)、ヒロイン・ルーシー役の神戸光歩にインタビュー。現代社会のタブーや問題に切り込むテーマ性を持った本作の印象や、注目ポイントなどを聞いた。
【写真】種崎敦美&神戸光歩、撮りおろしインタビューカット
■『ダーウィン事変』は「考えざるを得ないような状態になってしまう作品」
――本作は、人間とチンパンジーの間に生まれた“ヒューマンジー”が主人公という異色の作品です。原作または台本を読んで、どのような印象を持ちましたか?
神戸:オーディションを受けるにあたって、受ける役(ルーシー)のキャラクター性を掴むことを目的として読み始めたはずが、面白すぎて止まらなくなってしまって。気づいたら最新刊まで読み終えちゃっていました(笑)。
現実には存在しない“ヒューマンジー”について、それを取り巻く環境がとてもリアルに描かれていることで、「もし私がこの世界にいたらどう思うだろう」「実際にヒューマンジーがいたらどう接するだろう」とついつい考えてしまいます。それくらいのめり込んでしまう魅力的なストーリーだというのが作品の印象でした。
種崎:私も同じです。おもしろいストーリーを興味深く読んでいるうちに、自然といろんなことを考えざるを得ない状態にしてくれる作品だと感じました。そして、このテーマを描くことは、なかなか勇気のいることだったんじゃないかとも思って……。
もちろん原作者のうめざわ先生が描きたいものを描いてるんだとは思うのですが。でも、読んでいて強いメッセージ性は感じるものの、描かれている問題に対して作品として肯定も否定もされていないのがとても絶妙で。このような題材を扱っているけれど、適切な距離は保ちつつ、読み手に考えるきっかけを与える作品となっていることに感銘を受けました。
テレビアニメ『ダーウィン事変』キービジュアル(C)2026 うめざわしゅん・講談社/「ダーウィン事変」製作委員会
――ご自身が演じるチャーリーとルーシーの印象もうかがえますか?
神戸:最初は自分ならどう演じるかといった観点で原作を読んでいたので、ルーシーはわたしが自然体で演じることができるキャラクターかも、という印象を受けました。“自分”というものをしっかり持っていますが、チャーリーとの出会いで生まれた自分の中の新たな価値観にも柔軟に対応し、ちゃんと根拠に基づいて行動できる子というイメージです。彼女の言動は共感できる部分が多く、私自身の考え方とも少し近い部分があるのかなと感じました。
種崎:私もチャーリーの考えに「わかる」と思う瞬間が多かったです。チャーリーは、考え方がとってもシンプルなんですよね。賢いのでいろいろと考えた上で発言しているとは思いますが、その言葉に“裏”はないように思うんです。見た目はかわいいのに、かっこいいキャラクターだなという印象でした。
――原作を読んでいて、チャーリーにどんな声が付くのか想像もつきませんでした。種崎さんはどのようにチャーリーを掴み、演じているのでしょうか?
種崎:アニメの収録は毎週1話ずつの収録なことが多いのですが、この作品は月に1話ずつでした。1話録って、次の1ヵ月の収録までにその音源が入った映像をいただけるので、それを見ながら自分で考えて調整していきました。普段のアニメの収録より考える時間もたくさんあるので、収録期間中は本当にたくさん悩みました。なのでチャーリーのお芝居も話数ごとでわりと変化していると思います。
例えば第1話は、淡々とはしつつも、当たり前のように相手の言葉を受けて返すということを物理的にしているのですが、チャーリーって誰にも影響を受けないので、段々と相手が何を投げてきてもブレない、空気も読まないようになっていったかなと思います。その先も、ある出来事をきっかけにあえて明確に変化させていったり。
パッと聞きあまり違いは分からないかもなのですが、私の中では全然違って。普段当たり前のようにやっている、相手のセリフに影響を受けて返すというのをやらないのはなかなか緊張しました。でも、チャーリーの環境も状況もどんどん変わっていくので、その変化もリアルに思ってもらえたらいいなと思います。
テレビアニメ『ダーウィン事変』場面カット(C)2026 うめざわしゅん・講談社/「ダーウィン事変」製作委員会
――なるほど、1年たっぷり使って丁寧に収録されたのですね。では、津田尚克監督からも細かい調整などが入ったのではないでしょうか?
種崎:それが、びっくりするくらい何もなかったんですよ(笑)。
神戸:私もです(笑)。
種崎:何も言われなかったら言われなかったで、不安になるんですよね(笑)。毎回うめざわ先生もアフレコの現場に来てくださっていたので、「本当にこの表現で大丈夫でしょうか……?」と確認にいったりして。「ヒューマンジーはこの世に存在していないからこそ、種崎さんがやったことが正解になるので、どうぞ自信を持ってやってください」と言われました。
――それはありがたいお言葉ですね! そして、ルーシー役も満場一致で神戸さんに決まったそうですね。
神戸:ありがたいことに! この仕事をしていると、自分とかけ離れたキャラクターを演じる機会も多いですが、先ほど言ったようにルーシーはとても共感できるキャラクターです。頭脳明晰…と自分で言うのは違う気がしますが、私も勉強は嫌いじゃなかったですし(笑)。そんな自分の学生時代を思い返すと、ルーシーのように斜に構えて皮肉っぽいことを言っていたような記憶があったりもして、共通する部分も多かったように思います。
私は海外ドラマ作品に吹き替えで出演することも多く、アメリカの学校に通うティーンの役も演じたことがありました。共通点以外にも演技の引き出しもあったので、そんなに難しく考えることなく、直感的に「ルーシーはこうだろうな」と思って演じた方向性が、監督たちのイメージにも合致していたのだと思います。
テレビアニメ『ダーウィン事変』場面カット(C)2026 うめざわしゅん・講談社/「ダーウィン事変」製作委員会

