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山根綺「後悔しない道はない」 すべてを捨てて選んだ声優の道と、支え続ける言葉

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■小学校6年生で出会った、“声優”という夢

――役を作り上げていくうえで、山根さんが大切にしている“軸”や、意識していることを教えてください。

山根:私が大切にしているのは「距離感」です。大きく分けると、物理的な距離と心の距離、その2つですね。

まず物理的な距離は、声優のお芝居においてすごく重要だと思っています。マイクの前に立ったときに、話している相手がどこにいるのか。目の前なのか、少し離れているのか、空間に向かっているのか、それとも独り言なのか。そうした空間の距離感を、まず自分の中でしっかり捉えるようにしています。

それに加えて大事なのが、心の距離です。相手のことを好きなのか、苦手なのか、あるいはどう思われているのか。親なのか、友人なのかといった関係性によっても、感情の距離は大きく変わってきますよね。そういう繊細な距離感を自分の中に落とし込んでから、言葉にするようにしています。

頭で理解しているだけでは、なかなか音にはならないと思うんです。しっかりと心に落とし込めて初めて、自然な言葉として出てくる。そのためには、自分自身をどれだけ理解できているかも大切で。キャラクターが「自分自身をどう捉えているのか」という視点も含めて、自分と役との距離感を考えるようにしています。

相手との距離、自分との距離、そして物理的な距離と心の距離。そうしたすべての距離感が重なったときに、リアルなお芝居として立ち上がってくれたらいいなと思いながら、役を作っています。


――山根さんが声優という職業に出会ったのは、いつ頃だったのでしょうか。

山根:声優という職業を意識したのは、小学校6年生のときでした。初めてその存在を知った瞬間に、「私はきっとこれになりたいんだろうな」と、直感的に思ったんです。

当時の私は今ほど明るい性格ではなくて、人と関わることやコミュニケーションがあまり得意ではありませんでした。小学生の頃って、「いじり」と「いじめ」の境界が曖昧だったりするじゃないですか。私はすごく気にしやすい性格だったので、ちょっとした一言でも深く傷ついてしまって。それがきっかけで、人と関わること自体がだんだん苦手になっていきました。

たとえば国語の授業で音読をするとき、緊張すると声が高くなってしまうんです。すると「可愛い子ぶってるんじゃねえよ」と言われてしまって……。そういうことが何度かあって、泣いて帰ることもありました。

そんなとき、1つ上の姉にその話をしたら、「声優さんにもそういう声の人いた気がする」と、ぽつりと言ってくれて。その一言で初めて「声優」という言葉を強く意識しました。それで「どんな仕事なんだろう」と思って調べたのが、きっかけです。

もしこの仕事で成功できたら、コンプレックスだった自分の声も好きになれるかもしれない。私をいじってきた人たちを見返せるかもしれない。そんな反骨心のようなものが、そのときに生まれました。

ただ、小学6年生の時点では、まだ「大人が求める人生」を生きようとしていたんです。いわゆるレールの上にいる感覚で、「大学に行くのが当たり前」という空気の中で、自分もそうするんだろうと思っていました。

でも心のどこかではずっと、「本当は声優になりたいのに、どうして大学に行くって言っているんだろう」と感じていて。その現実と本音のギャップに悩み続けた10代でした。

そして高校3年生のとき、その葛藤が一気に爆発しました。「やっぱり私は大学には行けない」と思った瞬間に、「自分の人生を生きるしかない」と腹をくくったんです。

高校3年生の夏には、家族と1ヵ月ほどかけて何度も話し合いを重ねました。かなり壮絶でしたね(笑)。その末に、「自分の人生を生きてみよう」と決めて、声優を目指すことを認めてもらいました。今振り返ると、本当に葛藤の多い10代だったなと思います。

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■「これでダメだったら終わり」すべてを捨てて選んだ覚悟

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