フルート奏者・鎌田邦裕、トークも特色のリサイタルへ込める思い「音楽も私自身も身近に感じてもらいたい」
気鋭のフルート奏者、鎌田邦裕のリサイタルが、9月に東京と故郷の山形県鶴岡市で開催される。「Belle Epoque -夢幻の光」と題した今回のリサイタルへの思いを聞いた。
【写真】「鎌田邦裕フルートリサイタル Vol.13 ~Belle Epoque-夢幻の光~」ビジュアル
◆トークも特色のリサイタルへのこだわり「言葉の力も借りながら音楽を楽しんでもらえたら」
鎌田は第91回日本音楽コンクールのフルート部門第2位及び聴衆賞、イギリスで開催された第1回リバプール国際フルートコンクール第1位など、華々しいコンクール歴を誇る。しかし、その実績にとどまることなく、さまざまな活動を通してフルートの魅力を伝え続けている。その柱の一つが、毎年開催しているリサイタルだ。
「20歳からリサイタルを開催し続けて、今回で13回目を迎えます。最初は故郷の鶴岡市で始めて、近年は京都や東京でも開催しています。このリサイタルを続ける原点は、鶴岡で音楽を学んでいた頃の経験にあります。プロの演奏家を目指したいと思っても、身近にモデルとなる人がおらず、どうすれば実現できるのか、その道筋がなかなかイメージできませんでした。私は京都市立芸術大学に進学しましたが、自分が高校生のときにした苦労を、今の高校生にはしてほしくない。今、進路を考えている人に、そもそも音楽家になるという道もあることを伝えたくて、リサイタルを続けています。加えて、音楽を通して地元に貢献したいという思いもあり、このリサイタルがその一助になればとも考えています」。
その経験から生まれた鎌田のリサイタルは、クラシック音楽になじみの薄い人にも親しみやすい内容となっている。
「自分のリサイタルの特色は、トークを入れることです。プレトークから曲間まで、すべてお話を入れています。最近はトーク付きの演奏会も増えましたが、日本ではまだ多くはありません。実は自分自身、子どものころはクラシック音楽を聴くことがあまり得意じゃなかったんです。演奏するのは好きだけど、知らない曲をどう聴けばいいのか分からなくて。でも、大学で教わった大嶋義実先生がお話付きのコンサートをされていて、知らない曲でもトークによって取っかかりができると全然違うんだと実感しました。
自分だからこそ話せることもきっとある。愛好家の方にも満足していただける内容と演奏の質を保ちながら、初めて聴いてくださる方にも“この曲のここが面白いのか”“音楽家ってそういうことを考えながら演奏しているんだ”と感じていただいて、音楽も私自身も身近に感じてもらいたいと思っています。そうしたスタイルを続けていると、“演奏もお話も楽しみです”というお声をアンケートでいただくこともあります。クラシック音楽って、やっぱり難しいところもあると思うので、言葉の力も借りながら、音楽を楽しんでもらえたらと思っています」。
