フルート奏者・鎌田邦裕、トークも特色のリサイタルへ込める思い「音楽も私自身も身近に感じてもらいたい」
今年のリサイタルは「Belle Epoque -夢幻の光」と題し、19世紀後半から20世紀初頭のフランス音楽を中心にプログラムを構成する。ピアノを務めるのは、京都市立芸術大学時代からの友人で、全幅の信頼を寄せる三上翼。
「『ベル・エポック』とはフランス語で『美しい時代』という意味です。演奏会の前半はパリを中心に花開いたフランス音楽。ドビュッシー『牧神の午後への前奏曲』、サン=サーンス『ロマンス』、フォーレ『シシリエンヌ』、そして、前半の最後は、ドビュッシーの『ヴァイオリン・ソナタ』。後半は同じ時代に生きた作曲家に視野を拡げ、フリューリンクの『幻想曲』とフランクの『ヴァイオリン・ソナタ』を並べました。
前半は瞬間ごとに色が変わっていくような音楽、後半は建築物がしっかりと構築されていくような音楽です。『ベル・エポック』の時代に生まれた音楽の美しさを感じていただければと思います。前半と後半の最後にヴァイオリンの名曲をフルートで演奏することで、その時代の音楽を幅広くお届けできるのも面白いと思います。
ピアノの三上くんは天才肌で、とてもアンサンブルしやすく、とにかく一緒に演奏していて楽しい、共に成長していける仲間です」。
鎌田は4年前の日本音楽コンクールについて、「結果的に、年齢制限の兼ね合いで最初で最後の挑戦となりました。特に聴く人に届く音楽がしたいと思って受けたコンクールだったので、聴衆賞(岩谷賞)をいただけたことは、自分の音楽の伝え方は間違っていなかったんだという自信にもなりました」と振り返る。「聴く人に伝える」ことをなにより重視する鎌田らしい言葉だ。クラシックにあまりなじみがない人にも、彼のリサイタルは注目に値するだろう。
「知らないものは好きにも嫌いにもなれないですよね。例えば、昔、ピーマンが嫌いだったとしても、出会ったからこそピーマンというものを知って、嫌いだと思えたわけです。それが大人になって食べてみたら、“美味しい”に変わることもあります。たぶん音楽も同じで、最初は分からなくても、のちに同じ曲を聴いたら“意外といいじゃん”と思うようなことって、そもそもその曲に出会っていなければできない経験です。そういう音楽との出会いの機会を、もっと作っていきたいと考えています」。
(取材:林昌英)
「鎌田邦裕フルートリサイタル Vol.13 ~Belle Epoque-夢幻の光~」は、9月19日東京・やなか音楽ホール、9月25日山形・荘銀タクト鶴岡(鶴岡市文化会館)大ホールにて開催。
