『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』悠木碧×斎藤千和が語る、まどかとほむらの“約束”の行方
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――長年それぞれのキャラクターを演じてきた今、悠木さんは、まどかの立場からほむらにどんな言葉をかけたいですか。そして斎藤さんは、ほむらの立場から、まどかに何を伝えたいですか。
悠木:ほむらちゃんには、「そんなに頑張らなくても、幸せなことはたくさんあるんだよ」と言いたいですね。まどかが素敵な子だということは、私自身、年を重ねるごとに強く感じています。自分が演じる役を、これほど愛してくれる人がいるのは、すごくうれしい。
でも、まどかから見ても、ほむらちゃんが何かを愛することで苦しくなってしまうのは、少し違う気がするんです。愛情は、もっと温かくて、柔らかいものであっていいんじゃないかなって。だから、そんなに苛烈に生きなくてもいいのに、と思います。
ただ、そうすることで自分を保っている部分もあるんでしょうね。何をしてあげることが、彼女にとって本当の幸せなんだろう、と考えてしまいます。
斎藤:そうなんだよね。この二人は、本当に難しい。どちらかの願いがかなうと、もう一方の願いがかなわなくなる。だから、くるくる、くるくると回り続けて、解決しないんだよね。
悠木:そうですね。
『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』場面写真(C)Magica Quartet/Aniplex,Madoka Project
斎藤:まどかは、もうそのままでいい。本当に、そのままでいてほしいんです。ほむらちゃんも、まどかにはそのままでいてほしいと思っている。でも、そうすると、今度はほむら自身が生きていけなくなってしまう。自分を消すことになってしまう。それこそ、あの約束に縛られているから。
悠木:……これ、二人で世界を運営すればいいのでは?
斎藤:私も、本当にそうなんじゃないかと思うんですよ(笑)。でも、ほむらちゃんは、まどかだけを助けようとしてしまう。「キュゥべえに騙される前の、バカな私を助けてくれないかな」と、まどかに頼まれた約束を守るために。最初のまどかをどうしても救えなかったことを、ずっと抱えているから。
悠木:おそらく、まどかはその約束を、もう少し広い意味で言っていたんですよね。でも、ほむらちゃんは“まどか個人の救済”を、とにかく求め続けている。だから、まどかが「ほむらちゃん、お願い」と少し甘えられたら、うまくいくのかもしれない。でも、まどかは、そういうことができない子なんですよね。
斎藤:「ちょっと助けてほしいのかな」「困っているのかな」と思わせる瞬間を、見せてくることはあるんですけどね。だからこそ、ほむらはどうしても諦めきれなくなってしまう。……だから、“二人で運営する”という提案をしてもらえて、よかった(笑)。
悠木:分担してね(笑)。まどかも一人で「円環の理」という概念を担うのは大変だと思うので。“二人目の概念”として、ほむらちゃんに加わってもらって。
斎藤:本当に、みんなでね。……でも、やっぱりあの約束が、ほむらにとって生きる支えなんだろうな。だからこそ、ずっとあの場所に留まってしまうんだろうね。
悠木:そう考えると、ほむらちゃんは、まだ「生きよう」と思っている感じがしますよね。まどかは、それこそ自分のすべてを捨てるような選択をした。
斎藤:まどかは、ずっと高い場所から、世界を俯瞰して見ているんだろうね。でも、ほむらが救いたいのは、そこに至ったまどかではなく、“元のまどか”のまま。だから、今も動けずにいる。
悠木:まどかに、“人”でいてほしいんですよね。
『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』場面写真(C)Magica Quartet/Aniplex,Madoka Project
――最後に、ファンの皆さんへメッセージをお願いします。
斎藤:劇場版を観てくださって、本当にありがとうございます。長く待っていてくださった方であればあるほど味わい深く、そして初めましての方にも、斬新で鮮烈な作品を作り上げられたんじゃないかなと思っています。
私たちが携わっているのは、音響部の中の、さらに演技を担う一部分でしかありません。でも、作品というのは、それだけではなく、本当にいろいろな人が持ち寄ったパワーによってできているんだということを、今回もひしひしと感じました。主題歌を含めた音楽、映像、効果の隅々に至るまで、すべてが最高に『まどか☆マギカ』しています!
この作品を観て、皆さんの心に何が残りましたでしょうか? 暁美ほむらを演じ続けられる限り、私はほむらとともに生きていきたいと思っています。これからも、皆さんに恩返しできる機会があればうれしいです。末永く、応援よろしくお願いいたします。
悠木:本当に、長らくお待たせいたしました。私は『まどか☆マギカ』と出会った最初の頃から、どこか神話のような印象を抱きながら、収録に臨んでいたんです。劇団イヌカレー(泥犬)さんの世界観や、虚淵玄さんの脚本が、令和の技術によってさらにブラッシュアップされた形で届けられたことで、「ああ、これは本当に神話なんだ」と、あらためて感じました。
それを大画面と素晴らしい音響で受け取っていただき、この13年間、温め続けられてきた『まどか☆マギカ』という作品に秘められたエネルギーを感じていただけたらうれしいです。
私たちも、一生懸命、心を込めて演じさせていただきました。ぜひ、彼女たちの物語の“今”を見届けていただけたらと思います。これからも『まどか☆マギカ』を、何卒よろしくお願いいたします。
(左から)斎藤千和、悠木碧
(取材・文・写真:吉野庫之介)
『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』は、全国上映中。
