オダギリジョー「本当に嘘がつけなくて」 多種多様な作品に出演するわけとは?
30代に突入した頃から、当初のこだわりが少しずつ変化してきたという。「本当に嘘がつけないんで」と苦笑いするが、「僕が映画にこだわって仕事をしていた時代と、明らかに時代が変わってきている。僕が好きなインディーズのラインや、作家性の強い映画を作るのが難しい時代です。そこだけにこだわっていける時代ではないということを、肌で感じています」と胸の内を吐露。
こだわりを脱いだことで、楽しみは広がっただろうか?「テレビドラマの仕事は、勉強をさせてもらっている感じがしますね。テレビドラマをやると、『こうやると視聴率が伸びる』とか、そういったメソッドを相手に作ることになるでしょう? それは今までの僕には、まったくなかったもの。正直なところ、素晴らしい方法だとは思えませんが、モノ作りに携わるものとして、こういう作り方もあるんだと、新しい発見もある」。
さらにこう続けた。「今、自分の想像するものと、まったく真逆のものがヒットしていたり、支持されたりしているんです。それは観客と僕の間にかなり大きな溝があるということ。だから逆に、いろいろとやってみようと思って。とにかくやってみて、今の社会が求めているもの、必要な物を考えることが大切かなと思っています」。穏やかな表情の内側にみなぎる、「とにかくやってみなければ」という熱意と誠意。そして「何か新しいものを吹き込んでくれる役者」という、ワクワクとさせてくれるものが彼にはある。作り手も観客も、オダギリジョーを放っておけるわけがないのだ。(取材・文・写真:成田おり枝)
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