山崎貴監督、実写映画化を熱望した『寄生獣』は「僕の中ではわがまま作品」

日本を代表するヒットメーカーとして数々の作品を世に送り出してきた山崎貴監督が「自分のやりたいことの本質に近いことができた」と胸を張った作品が映画『寄生獣』だ。壮大なテーマが内在している原作を、監督得意のVFX技術を駆使して、大胆かつセンシティブな物語に作り上げた手腕──。唯一無二の漫画作品の実写映画化には多くの賛否が付きまとう。そんな中、ファンの満足度が非常に高かった本作について、山崎監督に話を聞いた。
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「この映画は僕の中ではわがまま作品の一つですね」と『寄生獣』を位置づけた山崎監督。自身が題材として熱望し、メジャーの枠組みの中、実写映画化が叶った。山崎監督は「わがまま」と表現したが、これまで結果を残し、信用を築き上げたからこそ実現した企画であり、当然のことながら思い入れも強い。
「原作が長いので2部作でやりたいとは言いました。またちゃんとしたバジェット(予算)で撮りたいということは伝えました」。山崎監督にとってこの部分はかなり重要だったという。「原作を読んだ人はちゃんとした文学作品だとわかるけれど、『寄生獣』というタイトルだけで内容を知らない人だと、えげつないホラーと思う人もいるでしょう。低予算でサクッと撮ってしまいかねない要素はある。どこで勝負するかで作品の内容は大きく変わってしまうんです」。
だからこそ、大きめのバジェットで一級品のスタッフ、キャストを揃えて臨むことにこだわった。そうしないと「原作の本質には迫れない」と山崎監督は判断した。とは言え「やっぱりお金は足りないんですよね」と苦笑い。「日本映画では最高レベルのバジェットでやらせていただきましたが、表現したいところにたどりつくためには、高いハードルがいくつもある。それを乗り越えるためには、お金をかける部分とそうでない部分……そのさじ加減は苦労しましたね」と本音を漏らす。