“テレビ映画”最後の砦『金曜ロードSHOW!』視聴者を惹きつける工夫とは
また、映画は他の番組に比べ、知らない人が多く出てくる、カットが早い、テロップが出ない、全体的に画面が暗いといった“わかりにくい要素”が多いため、鬼頭プロデューサーは「できる限り見やすく」するように心掛けていると話す。番組冒頭で作品の見どころや世界観を紹介し、データ放送では途中で「これまでのあらすじ」に切り替え、さらに番組HPを「金曜ロードシネマクラブ」としてコンテンツを充実させ、ツイッターなどSNSも積極的に活用と、幅広い層が目にするテレビでの放送であることを念頭に、少しでも作品に親しみやすいよう様々な工夫を行っている。
「映画は名だたるハリウッドや国内のクリエーターが作っている訳だし、やっぱり観れば面白いものだと思うんです。でも見やすくない、分からないと視聴者にチャンネルを変えられてしまいます。今は各局映画の放送枠が無くなってきていますが、身近なエンターテインメントのコンテンツの1つであってほしいと願うし、そうなるように見やすくできればいいかなと思って、作品の選定や構成、画面の作り方は常に考えています」。
思い起こせば幼少期、かつての『金曜ロードショー(「金曜ロードSHOW!」の前身番組)』が映画との出会いになった人も少なくないだろう。「いやぁ、映画って本っ当にいいものですね」、そんなかつての番組解説者であった故・水野晴郎氏の名言を若い世代の人にも実感してもらうべく、今後も「金曜ロードSHOW!」は多くの映画を放送し続ける。(取材・文:しべ超二)