渡辺大知、“想像の範囲を超えた”被災地撮影 神戸出身だからこその「やる意義」
「このセリフはこんなふうに言おうとか、こういう表情なのかなとか頭の中で作っていたところがあったんですけど、いざ被災地に入るとそういうものが使えなくなるというか、被災地が自分の想像の範囲を超えていた。住宅地として残っているところも今は誰も住んでいなかったりすごく違和感があって、その中でセリフを言うのは用意してできるものはない。それに気づいた時に、じゃあどういう感じでこの場にいればいいか悩みました」…それは他のキャストも同様だったという。
「考えた結果、もう一瞬一瞬を本気でぶつかるということしかないのかなと。こう見せようとかじゃなくて、何を感じたかが大事。今歩いている道、目に見えた空、そういう目の前にあるものを見て感じていくこと。今までやってきたことでなく、この映画のための参加の仕方があったと思うんです」と語った。
その感覚にたどり着いてからは撮影に変化があったという。「その場でこういうことを言おうということが増えていきました。渡辺大知として、石井杏奈として、会話する。役としてセリフのアドリブを出すという感じではなくて…」。それがこの作品のリアリティを生み出している。「『演じててもしょうがない』と思い始めて。感じるしかない、感じないなら感じないでもいい。それが全部映っているのがこの映画のすごいところじゃないかなと思います」と口にした渡辺。
「フィクションではあるんだけど、ドキュメンタリーよりも現実を見せられるような、あんまり観たことのない映像になっていていると思います。みんなで戦い抜いて作った作品で、そのパワーは大きな画面だからこそ伝わると思うので、ぜひ映画館で見てください!」とアピールした。(取材・文・写真:田中裕幸)
映画『LIVE!LOVE!SING! 生きて愛し歌うこと 劇場版』は2016年1月16日よりフォーラム福島ほかで先行公開。1月23日よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。