寺島しのぶ、母になるも役回りに変化ナシ 女優としての “探求心” 薄れず

「最初に脚本を読んだとき、正直、全然分からなかったんです(笑)。でも飛び込んじゃえ! みたいな気持ちになって、ちょうどこういう映画を欲していた時期でもあったんでしょう。分かるというより感じる映画。こんなハチャメチャな映画ってちょっとないし、こういう映画を残していかなきゃいけないとも思った」と語る寺島しのぶ。彼女の指す、感じる映画とは『美代子阿佐ヶ谷気分』の坪田義史監督が新たに放つ、ヒューマンドラマ『シェル・コレクター』だ。
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主演はリリー・フランキー。リリー演じる沖縄の離島で暮らす盲目の貝類学者が、寺島扮する画家いづみが患う原因不明の流行り病を貝の毒で治したことから物語が流れていく。常に、役柄を全身で受け止めている様がスクリーンを通じて伝わってくる寺島。本作でもイモガイに刺されたことによって再生したいづみの生命力のほとばしりを、全裸もいとわず全身全霊で演じている。
「演じていたときは、刺されちゃってたのかもしれないですね、私。何かに(笑)」と破顔する寺島。本編では、貝に刺されたいづみの脳裏に強烈なビジョンが浮かぶ瞬間があるのだが、寺島も女優として熱に浮かされたような状態になることはあるのだろうか。「そういうときもあります。自分がしゃべっているんだけど、勝手にセリフが口から出ているみたいな感覚のときがあるんですよ。しゃべっているのは確実に自分なんだけど、気を失っているみたいな。身体を借りられているような感覚。一種のトランス状態ですね。この作品でも奇跡的な瞬間がありました」。