中村倫也、俳優人生は「予想以上の充実ぶり」 佐々木希ら“同世代”と紡ぐ現場に感謝
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そんな温人と七海がふたりでやり取りをするシーンは劇中に幾度となく用意されており、時間の経過とともに心情や知っている事実が変わっていく。
佐々木は、ふたりが母の思い出の林檎スープについて話す場面は「近すぎてはいけないし、距離感が難しかった」と苦労を明かし、中村も「憎しみにも似た嫉妬といいますか、勝手なものを温人は抱いています。そこに温人自身がしっかり目を向けていない。それが林檎スープを一口飲むことで、刹那的な瞬間に色んなことが変わります。細かな機微を大事に演じ分ける必要があり、やっていて楽しかったです」と振り返った。
また、今回の現場は新鮮だったという。佐々木は「若い方のエネルギーに溢れた、とてもいい現場でした」と述懐。経験を重ねたベテランではなく、弱冠26歳の今村圭佑がチーフカメラマンをつとめたことに触れ、「“こういう時代が来たの!?”とビックリしました。自分より年下のスタッフが出てきたとは。才能にあふれてるんですよ」と話すと、中村も同調し、驚いたあまり今村に「なんだテメー!?」とツッコミを入れてしまったと笑う。
最後に、変幻自在の演技で映画や舞台、ドラマと引っ張りダコの中村が、役者として求められている現状について、予想以上の充実ぶりだと率直に語った。「自分に才能があるとはデビューした頃しか考えていなかったですし、すぐ鼻を折られた口なんです。それでも出会い運だけはあると思います。いい出会いといいますか、面白がってくれる人や僕が面白いなと思えるステキな人にたくさん出会えました。これから先も一個一個楽しいことをしながら、笑って死ねればいいかなと思いますね」。役者・中村の、秘めたる思いが垣間見えた。(取材・文・写真:サクライコウジ)