ホームレス経験ありの若手監督が“37分ワンカット”ゾンビ映画を作るまで
20〜25歳まで、まったく映画をつくれなかったという上田監督だが、「その頃のことを暗黒期だとはまったく思っていません!」と言い切る。何でも当時、日常の出来事をすべてブログに書き込んで披露するのが習慣だったそうで、「そういう不運なことも、ブログに書いてみんなに見てもらうと、自分なりのエンタテインメントになる。だから自分の置かれた状況に嘆いたことって、あまりないんですよ」と笑顔を見せる。悪いこともネタだと考え、底抜けに前向きなのが“上田流”だ。
「もともと、面白いことをして披露するのが好きなんです」と語る上田監督。不器用な人々への眼差しと、ものづくりへの愛にあふれた本作には、その生き様が詰め込まれているように感じる。「背伸びをして映画を撮ったこともあります。でも今回は“裸になって自分のつくりたいものをつくろう”と思っていました。それが評価していただけて、ものすごく自信になったんです」。映画はもちろん、監督自身もとても魅力的な人物だった。ゾンビ映画でありながら、笑って泣ける“愛の物語”となった『カメラを止めるな!』。新たな邦画界の才能をぜひ目撃してほしい。(取材・文・写真:成田おり枝)
映画『カメラを止めるな!』は公開中。