大沢たかお「来年仕事がゼロだっていい」 “安パイ”のような芝居はしない
その取り組みは桐生の走り方を見ても一目瞭然だ。
「厳しい撮影でした。真冬の海とか、甲板の上とか、地下道とかで走りまくりましたから。ダメージ大きいですよ。撮影から10ヵ月くらいになるのに、まだ立ち座りがしんどいですからね」と告白する大沢。『キングダム』ではムキムキの肉体改造に驚かされたが、今度は、“普通の男”として身を削って逃亡者になった。役になりきるためとはいえ、そこまで自らを痛めつけるのはなぜなのか?
映画『AI崩壊』より (C)2019映画「AI崩壊」製作委員会
「それくらい必死でやらないと、お客さんは共感してくれません。CGに頼ることはできるかもしれないけれど、それじゃお客さんの心は動かない。エンターテインメントってサプライズだから、お客さんを驚かせたいんです。もっともっと。僕が肉体を痛めつけてそれが可能になるならやるだけ。僕は、芝居が終わってハッピーだと思ったことなんて一度もないんです。『映画を撮り終わってハッピーだ』なんて、そんな経験は1日もない。ただお客さんが、喜んでくれればいい。観て元気になったとか、興奮したとか、思ってもらえたらそれだけでいい」。
「あと数年だけ、頑張ってみようかな」と思い、復帰したという大沢。ひとつひとつ「これが最後の作品かもしれない」と思いながら臨んでいるそうだが、その存在は今の日本映画にやはりなくてはならない。
「とにかく今MAXでやるしかない。来年仕事がゼロだっていいんです。やれることはやったと言えるから」。そのストイックな姿勢は、大沢が俳優業を、映画を、真に大切に思っているからこそ。50代に入った大沢だから挑める作品で、これからも観客を驚かせ続けてくれるに違いない。(取材・文:望月ふみ 写真:高野広美)
映画『AI崩壊』は全国公開中。
映画『AI崩壊』は現在公開中 (C)2019映画「AI崩壊」製作委員会
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