奥平大兼16歳、デビュー作で“母”長澤まさみからビンタ「自然と涙が出た」

17歳の少年が起こした実際の祖父母殺人事件をヒントに作られた映画『MOTHER マザー』。長澤まさみが、育児放棄といえる行動をとりながらも息子に強い執着を見せるシングルマザーの秋子を演じる本作で、17歳になった秋子の息子・周平を演じてデビューを飾る奥平大兼が、予告編やポスターの解禁時から「あの少年は?」と注目を集めている。「今の自分を全く想像していませんでした」とはにかむ現在16歳の奥平が、初めての撮影にどう臨んだのか。“母”長澤との撮影秘話、そして自身の母との関係も明かした。
【写真】奥平大兼16歳、りりしい表情も 撮り下ろしショット集
■初めての撮影 “感情”から自然に出たセリフが採用されたことも
まったくの演技経験ゼロだった奥平は、本作のクランクイン前に大森立嗣監督のもとでワークショップを受けた。
「周平の役作りとかそういう以前に、本当に基礎的なことを教わりました。それから『MOTHER マザー』のシーンも演じましたが、全然うまくいかなかったんです。気持ちが全然乗らなくてロボットみたいというか。そんな時、監督が“自分がその場で感じたものをそのまま表現すればいいんだよ”と言ってくださったんです。それで流れだけを頭に入れて、セリフの細部にこだわらずに、その時の感情を優先しようと思いました。そしたら言葉が自分の中から出てきて、監督からも『OK、いいね』と言ってもらえて」。
終盤の、周平の気持ちが語られる重要シーンでも、感情から自然に出たセリフが採用された。「現場でこういう流れだなということを理解して、最後の告白の場面も含めて演じました」。
■“母”長澤まさみからのビンタで予期せぬ感情、そして涙
映画『MOTHER マザー』より (C)2020「MOTHER」製作委員会
本作はセリフのない、表情やしぐさだけのシーンも多い。中盤、長澤演じる母親からビンタを受ける場面では、予期せぬ感情に襲われ、戸惑いながらも自然と涙が流れた。
「撮影テストの時には、動きだけで実際にはたたかれなかったんですが、本番ではもちろん本当にたたかれました。お母さん(長澤)の手が見えないくらい早くて、スパーン!って来て。すごくビックリしましたが、体温が伝わってきて、自然と涙が出てきました。でもなぜかどうしても泣きたくなくて、自分の手をぎゅっと握って涙が流れないように我慢しました。それでも結局、泣いちゃって。周平の気持ちになれたのかな。もう一度今同じことをやれと言われてもできないと思います」。
作品の内容的に現場の空気もさぞかし重かったのだろうと思いきや、「すごく明るい雰囲気でした」とのこと。「一緒にいるときには、長澤さんたちと、ずっとたわいもない話をしていました。(内縁の父役の)阿部サダヲさんは僕くらいの年齢の頃の話をしてくれました」。