芦田愛菜16歳が語る、“わからないもの”への面白さ
■“わからないもの”への面白さ 「もやもやしているけどわかる」感覚が好き
もちろん、その場の感覚や衝動に頼るだけではない。家で何度も台本と原作を読み込み、イメージを重ねるなど、彼女が事前の準備を怠ることは決してない。だが、そうした論理的な積み重ねの外にある“わからないもの”に芦田自身、どうしようもなく惹(ひ)かれるという。
「この映画のラストシーンもそうなんですけど、人の心情とか行動って、理屈で説明できるものが全てじゃないんですよね。『わからない』という気持ちや『もやもやしているけどなんかわかる』という感覚が好きなんです。合理的・科学的に説明できてしまうことより、自分の中から湧き上がる気持ち――お芝居でもそうで、理屈よりも『こう動きたくなるよね』という感覚が好きですね。もやもやした気持ちは、もやもやした気持ちのまま演じればいいのかなって。“うれし泣き”という言葉があるように、もやもやした気持ちの中に、うれしさ、悲しさ、つらさや決意があったりするし、その全てを表現するんじゃなくて『わからない』という気持ちがあってもいいのかなと。この子(ちひろ)が自分で気づいてないけど持っている気持ち、言葉で表現しきれない気持ちに、私が脚本を読み込んで気づいていたとしても、その全てを表現しなくともいいと思うし、そういうもやもやが面白さにつながるんじゃないかと思います」。
“わかりやすさ”が優先されがちな世の中で、16歳の名優が提示する“わからない”ことの面白さ。理性と衝動の狭間(はざま)で彼女が表現した彼女なりの“答え”を映画館で感じてほしい。(取材・文:黒豆直樹 写真:松林満美)
映画『星の子』は10月9日より全国公開。
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