『逃げ恥』脚本・野木亜紀子が絶賛する、新垣結衣&星野源の“普通力”
★海野つなみの原作が描く多様性を継承
スペシャルでは原作の10巻と11巻をベースに、みくりと平匡が結婚し、妊娠、出産、子育てで生じる新たな問題に向き合っていく様子が描かれる。原作を読んだ時の印象を「なるほど、こうきたかと。海野先生はその時に必要なものを描かれる方だと思いましたね。追い詰められる男性の気持ち、肩肘を張って過ごす人たちが弱音を吐ける場所があったらいいよねという部分はドラマでもきちんとやらないといけないと死守しました」と回顧。
『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』場面写真(C)TBS
連ドラでは“ムズキュン”という言葉と共にキュン要素も注目を集めたが、「今回はラブコメの先の家族の話なので多くない。そもそも原作にムズキュンという言葉は1mmも出てこないんです。海野先生は別にキュンを狙ってるわけではなく多様性を描いていて、私もそれを継承しているだけ。『逃げ恥』は人間と人間のディスコミュニケーションの話。隣にいても分かり合えなかったり、別々の人間だから違い、近づこうと思ってもそれがうまくいかなかったり。その距離感が結果的にキュンとしたり、切なくなったりするんです」と本作で描きたかったことを語った。
★星野源の“志摩→平匡”の変化ぶりに爆笑
連ドラでディスコミュニケーションを絶妙に表現した新垣と星野の魅力を問うと、「それぞれ普通が上手い」と答え、「ガッキーは一見キラキラしてるけど普通が演じられるし、細かいお芝居が上手。源さんもポップスターなのに普通で素朴を演じられる。2人の持つ普通力は意外と見過ごされがちですが、連ドラにもかなり生かされていました」と絶賛。また4年ぶりの撮影でも「変わってない2人がすごい」と言い、特に星野には驚かされたとも。星野は直前まで『MIU404』でクールな刑事・志摩を演じていたが、「志摩から平匡の変化ぶりが衝撃過ぎて、爆笑してしまって(笑)。別人でビックリしました」と明かした。
『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』場面写真(C)TBS
常識が一変した2020年の世相も反映されている新春スペシャル。野木は「2011年の東日本大震災は転換期で、何も解決しないまま忘れ去られそうになっているのがすごく気持ち悪くて。2021年は10年の節目ですが、今年はそれを吹き飛ばす大変な年になり、解決されないものが積み重なってしまった。本当にどうしようかという感じで、もっといろんなことを考えて生き、作らないといけないと思いました」と言及。そんな現状を踏まえてからなのか、野木は「ガンバレ人類!」というサブタイトルに対し、「ふざけたタイトルで大丈夫かとも思いますが、見たら分かっていただけるはず」と思いを口にした。オンエアを楽しみながら、野木が本作で今の世の中に伝えたいメッセージを受け取りたい。(取材・文:高山美穂)
『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』は、TBS系にて2021年1月2日21時放送。