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釈由美子、闇や孤独感に苦しめられた20代 母になり「自分のことはどうでもいい」と変化

映画

■“求める愛”から“注ぐ愛”にーー「今のモットーは、ハクナマタタ」
 
 本作の中では、感染の恐怖に襲われながらも、おなかのわが子を守ろうとするナオミの姿が印象的だ。釈は「ガニ股で歩いたり、“ヨイショ!”と動く感じなど身のこなしも含めて、妊娠していたときを思い出しながら、役作りしていました。感染が進んでくると、ナオミは立てなくなって、ほふく前進をするんです。そのときもおなかをかばうことを忘れずに、“この子を守るんだ”という思いで、前に進みました」と母の思いも投影した。

映画『ロックダウン・ホテル』より (C)2020 THE HORRORS OF HALL PRODUCTIONS INC
 “母の強さ”を感じさせるナオミだが、釈は「子どもを産んで、自分自身ものすごく変化した」といい、「自分のことを振り返る時間がなくなったので、いい意味でも、悪い意味でも、クヨクヨしなくなったと思います」と清々しい笑顔を見せる。「うちの子は、5歳の男の子。やんちゃ盛りで、毎日が戦場のよう。ふと気づくと、お仕事以外では、ドライヤーで髪を乾かしていないかも」。


 それは彼女の孤独感にも影響を及ぼし、「今までの私の自己肯定感のなさって、つまりは承認欲求の表れだったんだと思うんです。“自分を見てほしい”、“愛してほしい”って。そういった“愛をちょうだい”と求めていたものが、唯一かけがえのないものに対する、“注ぐ愛”へと変わった」としみじみ。「今は、この子が元気に育つならば、自分のことはどうでもいい。笑いジワがたくさんできてもいいと思っています。だって母親がニコニコして家にいるのって、子どもにとって一番いいことですよね。もちろん怒ることもたくさんありますよ! お風呂上がりに『ライオンキング』を歌いながら裸で走り回ったり、うちの子、なにをするか分からないですから」と楽しそうにほほ笑む。


 せわしない日々を笑顔で過ごすうちに、身につけたのが「ハクナマタタ(=心配ないさ)」の精神。「こうして、今の私にお仕事をいただけていることは、本当にありがたいことだなと思っています。コロナ禍になって一層、エンタテインメントの重要性を実感しています。少しでも、皆さんに楽しさや勇気を与えられるお仕事ができたらうれしい」と心を込める釈だが、なんと海外進出第二弾も、すでに撮影済みなのだとか。

 「『ゴジラ×メカゴジラ』の大ファンだという監督から、お声がけをいただいて。日本では、まだ公開が決まっていないんです。ハリウッド進出というつもりもなく、日本であれ、アメリカであれ、どこの国の作品であったとしても、“釈にやらせてみたい”と思っていただけるなら、そこに対して全力を尽くしたい」と力強く語る。これまでの経験が糧となり、彼女の周辺にいい風が吹いているよう。人生の年輪を刻んだ釈由美子は、穏やかで温かなオーラに満ちあふれていた。(取材・文:成田おり枝 写真:高野広美)

 映画『ロックダウン・ホテル/死・霊・感・染』は7月2日より全国公開。

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