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ふくだももこ監督×児玉美月が語る“日本の映画業界” これまでの当たり前は「実はとんでもなくストレス」

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■育児と映画製作の両立

児玉:それで思い出したんですが、ふくだ監督は撮影現場に保育所を作りたいとおっしゃられていますよね。齊藤工さんなども以前ご自身の撮影現場に託児所を作られたそうで、そうした動きも徐々に見えはじめたのかなと思うのですが。

ふくだ:そうですね。ただ、全然まだまだ広まっていないです。保育部というものを、撮影部と同じくらい当たり前に作らなくてはいけないと思っています。私自身、撮影が産後半年も経たずに行われ、夜中に授乳もしなければいけないなか、どうにか現場に行き、撮影中も搾乳しに化粧室に行って、バッタリ役者さんと会ったり…(笑)。そんな大変な経験を実際にしました。今後もし、女性の監督から「産後半年で復帰しようと思っている」と相談を受けたら「絶対にやめたほうがいい」と答えます。

児玉:ふくだ監督は以前、今後の映画業界のためにも、女性が妊娠・出産・育児などとどう両立しながら仕事していたかを記録に残しておく必要があるとおっしゃられていました。いくら映画界で女性のスタッフをもっと増やして活躍させたくても、そうできる環境自体が整っていないと理念だけが先行して終わりになってしまいますよね。

『ずっと独身でいるつもり?』オフショット (C)2021日活
ふくだ:優秀な女性のスタッフが出産や育児によって業界を去ってしまう問題を嘆いているプロデューサーは多いです。にもかかわらず、その問題の改善策が全然講じられない。私みたいな当事者がいてもなお、彼らの中にはっきりとした意識が芽生えたのかはわかりません。

児玉:それはどうしても映画業界に男性のプロデューサーが多いこととも関係しているんじゃないでしょうか。先ほどふくだ監督が女性のプロデューサーを増やさなければいけないと言っていた課題とつながってくると思います。

ふくだ:本当にその通りです。悔しいのは、もしも女性のプロデューサーが何人かいて、その中に出産を経験していた人もいたら「産後半年での撮影復帰は無理です」と止めてくれていたかもしれないということ。もちろん中には「私は3ヵ月で復帰したから大丈夫」という人もいるかもしれないけれど、とにかく当事者が増えないと、そんな意見すら、ひとつもあがらないんです。「まあ、よくわからんけど大丈夫だろう」という空気だけで話が進んでいきます。

児玉:映画を撮らせる権力のある立場のジェンダーの不均衡もですが、そういった立場にある方々には、そうした配慮に対する意識や映画を撮るべき人間を見極められるような価値観をアップデートしていってもらいたいです。

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