大原櫻子、頭の固い大人にはなりたくない――遊び心を大切に歩む芝居の道
◆ありんこの時間でも人生を変えられるようなパワーが演劇にはある
――共演の八嶋さん、小泉さんとは初顔合わせとのことですが、お2人の印象はいかがですか?
大原:お会いするまでは、八嶋さんは、明るい役をやられていることも多く、お芝居を見るだけで笑顔になれる印象で、小泉さんはマルチな方でとても芯のしっかりした女性というイメージでした。実際お会いしてみると、自分の出番じゃなくても、私が引っかかっていることに親身になって一緒に考えてくださったり、本当に優しくって。掘っても掘っても深い物語なので、アドバイスをいただくことも多いですけど、分かんないことがあったら聞いたほうがご迷惑にならないだろうし、温かい方々なので、分かんないままでうやむやにするのではなく、ディスカッションできる感じでうれしいです。
――本格舞台は1年ぶり。ドラマ、歌とさまざまなジャンルでご活躍ですが、大原さんにとって舞台はどんな存在でしょう。
大原:お仕事をしていくうえで、ドラマだったら今日中にこの分撮らなきゃいけないとか、歌だったらいついつ発売に向けて…とか、リミットっていうのがいろんな仕事にはあって。でも舞台は、ありがたいごとに1ヵ月くらい練る時間があるじゃないですか。それって、自分の人生の中で、いろいろ立ち止まって自分自身や人生ってものを見つめ直したり、考えたりする時間をくれる。自分自身の人間性も深まる瞬間というか…。
(舞台の)2時間って人生の中ではありんこみたいな短さの時間だと思うんですけど、ありんこの時間で人生を変えられるようなパワーが演劇にはあるって思うんですよね。1人でも人生を変えられるのなら、頑張りたいなって思っています。
――コロナ禍を経て、お客さんの前で演じたり歌ったりすることへの意識も変わりましたか?
大原:お客さんの拍手の音が変わりましたよね。今年の誕生日に舞台に立たせていただいたんですけど、幕が開いた瞬間にパチパチパチ~!という拍手が起こって、すごいメッセージを感じたんです。声を出せない分、拍手のエネルギーが何倍にもなったなって感じました。そんなお客さんの拍手の音にこっちも応えたいと思ってより頑張ることができるし、それはいい意味で変わったなって。