香川照之主演『宮松と山下』30秒予告解禁 サンセバスチャン国際映画祭で拍手喝采
俳優の香川照之が主演する映画『宮松と山下』より、30秒予告、ポスタービジュアル、場面写真が解禁。併せて、現在開催中の第70回サンセバスチャン国際映画祭で本作がワールドプレミア上映された際の現地レポートも到着した。
【動画】映画『宮松と山下』、ミステリーを感じさせる30秒予告
本作は、数多くの名作CMや教育番組『ピタゴラスイッチ』を手掛けてきた東京藝術大学名誉教授・佐藤雅彦、NHKでドラマ演出を行ってきた関友太郎、多岐にわたりメディアデザインを手掛ける平瀬謙太朗の3人からなる監督集団「5月」が、香川を主演に迎えて制作した初の長編映画。共演キャストとして、津田寛治、尾美としのり、中越典子が出演する。
主人公・宮松(香川)はエキストラ俳優。ある日は時代劇で弓矢に打たれ、ある日は大勢のヤクザのひとりとして路上で撃たれ、またある日はヒットマンの凶弾に倒れ…来る日も来る日も死に続けている。真面目に殺され続ける宮松の生活は、派手さはないけれども慎ましく静かな日々。そんな宮松には、実は過去の記憶がない。なにが好きだったのか、どこで何をしていたのか、自分が何者だったのか。なにも思い出せない中、彼は毎日数ページだけ渡される「主人公ではない人生」を演じ続けていく…。
30秒予告は、宮松が時代劇で相手に斬りかかる姿から始まる。勇ましく踏み込んだものの、あっさり斬られてしまう宮松。続いて、ちょんまげ姿でラーメンを食べる姿と「エキストラ俳優、宮松」という文字が映し出され、宮松がエキストラとしてドラマ撮影に参加していることがわかる。
その後、尾美としのり演じる「谷」と名乗る男が宮松の前に現れると、一気に不穏な空気に。何者かに押されて頭を強打する男、「12年前、それまでの自分を失った」という文字。不安をかきたてる音楽が流れる中、登場人物たちの姿や宮松がエキストラをしている映像が連なっていく。果たして終盤で浮かび上がる「昨日までの自分を失ったら、何を演じたら良いのだろう」という言葉が意味するものとは。主人公の過去に興味がふくらむ、ミステリアスな予告となっている。
ポスタービジュアルは、時代劇の扮装をした宮松(香川)がバスに乗る姿を大きく配置したもの。「名もなき誰か を演じ、名もなき自分 を演じる」という意味深なキャッチコピーが添えられている。
さらに今回、追加キャストとして、野波麻帆、大鶴義丹、尾上寛之、諏訪太郎、黒田大輔が出演することも発表された。
本作は、現在開催中の第70回サンセバスチャン国際映画祭 New Directors部門に正式招待され、9月20日にワールドプレミア上映を行った。現地には、佐藤雅彦、関友太郎、平瀬謙太朗の監督3人が出席。完売し満席となった600席の会場では、宮松が異なる役を演じるごとに笑いや驚きの声が上がり、エンドクレジット中には拍手喝采が沸き上がり、それに監督たちが立ち上がって応えるという感動的な光景が見られた。
映画祭公式レセプションでは、映画祭ディレクターのホセ=ルイス・レボルディノスが監督たちに駆け寄り、「とても斬新で驚いた! サンセバスチャンでワールドプレミア上映できてとても嬉しい」と賛辞を贈る一幕も。街を歩いていると「素晴らしかった!」と声をかけられたという監督たちは「上映終了後の観客との対話では、いつまでも質問が止まず、その興味の高さに嬉しくなりました。私たちが世界に問う映画作りは、この映画から始まります。そう決意を新たにした上映でした」とコメントを寄せた。
映画『宮松と山下』は、11月18日より全国公開。
■第70回サンセバスチャン国際映画祭ワールドプレミア上映を受けての監督「5月」コメント全文
『宮松と山下』が、初めて、この世の中に披露されました。サンセバスチャンの劇場を埋め尽くした600もの眼差しが、この映画を体験しました。上映中の『宮松と山下』は、いたるところで、観客におおっと声を挙げさせるほど驚かす一方で、私たち監督でさえ思いもよらぬところで笑いを生んでいました。そして主人公・宮松を演じる香川照之さんの存在感と演技は、世界の方に、とんでもない俳優が日本にいることを知らしめました。
上映終了後の観客との対話では、いつまでも質問が止まず、その興味の高さに嬉しくなりました。私たちが世界に問う映画作りは、この映画から始まります。そう決意を新たにした上映でした。