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吉田羊「挑戦的な舞台になりそう」 主演作『ハムレットQ1』上演決定! 共演に飯豊まりえ、吉田栄作ら

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吉田羊

飯豊まりえ

吉田栄作

大鶴佐助

牧島輝

広岡由里子

森新太郎

■訳:松岡和子

 「ハムレットQ1」の特徴をひと言で言えば、「コンパクト」でしょうか。簡にして要。

 「ハムレット」が書かれ上演されたのは1600年から1601年ごろと言われています。当時から大変な人気作だったらしく、すぐに本になりました。最初のQ1が出たのは1603年、その翌年にはQ2(キュー・ツー)が。1623年に出版された戯曲全集F1(エフ・ワン)にも収録されています。

 QとかFは判型のことです。全紙を半分に折ったサイズをフォリオ(二つ折本)、それをさらに半分に折ったサイズをクオート(四つ折本)と言い、頭文字を取ってFとかQと呼ぶ。ですからQ1は第一・四つ折本、Q2は第二・四つ折本、F1は第一・二つ折本。大方のモダンテクストがこれらの折衷版です。

 三つの古本は長さが違います。一番短いQ1は上演台本として魅力があります。なにしろ短いから、劇としての展開が早い。上演時間も短い。主人公があまり物思いに耽らない。ハムレットと言えば独白が有名ですが、そもそもQ1の独白の回数はQ2やF1より少なく、各独白が短い。でもこの人物の特徴である言葉遊びはQ1でも楽しめます。また、母ガートルードとの関係も、Q1をご覧になると、あっと驚くのでは? Q1によって、いままで知らなかったハムレットの顔が見えてくるはずです。

■演出:森新太郎

 逃れようのない人間の宿命を体現する新たなハムレット像を求めて。

 初めて『ハムレット』を演出したのは2019年。その時、故 蜷川幸雄氏はじめ演出家の大先輩たちが何故、回を重ねてこの戯曲を演出したのか、その片鱗に触れた気がした。『ハムレット』は演出家の意図とはまた別に、“誰がハムレットを演じるか”によって、大きく変化する戯曲なのだ。

 また『ハムレット』には、美しい修辞の長大な台詞に彩られた上演すれば4時間越えは確実な「F1」と「Q2」、その約半分の行数からなる「Q1」という異なる3つの印刷原本が存在している。今回は畳みかけるように展開する、疾走感のあるドラマが魅力の「Q1」で、自分の中のハムレット像に別の側面から光を当ててみたいと考えている。

 さて、誰にハムレットを演じてもらうか、だ。

 2021年、ここPARCO劇場で同じシェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』を女性だけの配役で上演させていただいた。政治と闘争の果ての悲劇。血に塗れ、苦悩しながらも清廉さを失わない孤高の人ブルータスを体現した吉田羊氏の佇まいが、私の中でいつしかハムレットの孤独と重なり、気づけば今回の上演のためのピースにぴたりとはまっていた。

 今、考えているハムレットは思いがけず死に直面し、恐れ、懊悩しながらもついにはそれを受け入れる、人間の逃れようのない宿命に対峙する青年だ。その儚くも壮絶な内的葛藤を、俳優・吉田羊は舞台上で生きてくれるに違いない。流星のように駆け抜ける人の生の煌めきを、共に目撃していただける舞台を夢想している。

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