元宝塚トップスター・柚香光、劇団☆新感線45周年興行・初夏公演『紅鬼物語』で退団後初の舞台!
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■作:青木豪
学生時代から新感線のファンなので、2008年の『IZO』からずっと「兄貴、俺でいいんですか?」と恐縮しつつ、毎度ご期待に応えられるよう頑張っております。いのうえさんのオーダーはいつも「それをまさに今書いてみたかった」という感じなので、プレッシャーよりやる気が上回るところに、ただただ感謝しております。
4、5年前に『あのよこのよ』という作品の着想を始めた頃、『酒呑童子』をベースにした鬼退治の話を書きたかったのですが、その頃『鬼滅の刃』がヒットしていて、ちょっと鬼退治を書くのに気が引けてしまい…。なので今回いのうえさんから「『雨月物語』みたいな、お伽噺みたいのをやりたい」というオーダーを頂戴して、「鬼退治でどうですか?」とお答えしたら、「いいねぇ」とご返答いただけて、大変に嬉しかったです。ようやくチャレンジできて感無量であります。
陰惨な中にも美しさと愛のある作品になると思います。多くのお客様に気に入っていただけたら嬉しいです。ご期待ください。
■主宰・演出:いのうえひでのり
“いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective”と銘打った狙いとしては昔話、またはお伽噺という切り口のいのうえ歌舞伎はこれまでやっていないから新しいと思ったんです。これまでもいろいろな形で“鬼”を扱ってはきましたが、今回は特に幻想怪奇的なラインを強調しつつ、昔からある日本の鬼伝説や伝承をモチーフにしていきます。
青木豪さんの脚本は、ちょっとマニアックな視点、ニュアンスがあるところが面白い。そんな彼ならではの魅力をいかに出していくかをいつも一番に考えています。また東京公演では劇場のサイズが小さめなので、「だからこそ良かった」と思われるような長所にしたいとも思っているんです。柚香光さんはせっかく初めて新感線に出ていただくんですから、歌も踊りも期待していてください! 喜矢武豊くんは身体が利く人ですし、一ノ瀬颯くんは僕のワークショップに参加してくれた時にとても素直でいい感じでした。樋口日奈さんは、舞台の出演作がとても評判でしたからね。
鈴木拡樹くんは『髑髏城の七人~Season月《下弦の月》』(2017~18年)以来なので、さらに成長した姿をぜひ見たいです。早乙女友貴くんは今回“番頭”みたいなポジションで劇団員とゲスト、特に初参加の方々との良いつなぎをやってくれるのではないかと思います。千葉哲也さんは俳優であり演出家でもあるから、いてくださるだけでみんな相当ホッとするんじゃないかな。粟根まことさんには「この舞台は劇団☆新感線だよ!」ということを知ってもらうためにも劇団員を代表して頑張ってもらいましょう(笑)。
今回は、歌も踊りも入る“いのうえ歌舞伎”ではありますが、ここ最近の作品のなかでもより物語性を重視した舞台にするつもりです。新感線版お伽噺、劇場でお待ちしております!
■柚香光
実は私、新感線さんの舞台は以前から何度も拝見しているんです。初めて観たのは『髑髏城の七人』(2011)で「なんだ、この世界は!?」とものすごく衝撃を受けて、次の日まで感動が残っていて。ですから、その劇団☆新感線さんの舞台に自分が主演として立てるなんて!と、とても興奮しています。
今回は“いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective”と銘打って、昔話、お伽噺が切り口になるとのことですが、“鬼”という存在には私も俳優として心惹かれる部分が強くあります。私たち人間とは違う生きものかというと、そうでもないかもしれなくて。ただ私たちが目を向けていないだけで、現代を生きる私たちの中にもある普遍的なものが“鬼”に繋がるのかもしれませんからね。
とにかく歌劇を卒業し、男役というものを脱ぎ捨てての初めての作品になりますので、たぶん自分が今まで出会ったことのない何かが産声を上げるような、新しいものに出会えそうだとも思っています。そういう、まだ自分が知らない自分と一体化しつつ、今回演じる役柄をどうやって作っていくかが、まずは一番のテーマです。皆さんに大切に思っていただける作品や役になるようにお届けしたいと思っていますので、是非ご期待くださいまして、劇場でお待ちしています!