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アカデミー賞受賞『アイム・スティル・ヒア』8.8公開決定 世界が忘れた「声なき物語」が蘇る

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映画『アイム・スティル・ヒア』ポスター
映画『アイム・スティル・ヒア』ポスター(C)2024 VIDEOFILMES/RT FEATURES/GLOBOPLAY/CONSPIRAÇÃO/MACT PRODUCTIONS/ARTE FRANCE CINÉMA

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 第97回アカデミー賞でブラジル映画初となる国際長編映画賞を獲得した名匠ウォルター・サレス監督作『アイム・スティル・ヒア』の公開日が、8月8日に決定。本ポスター、シーン写真9点が解禁された。

【写真】ブラジル映画初の国際⻑編映画賞『アイム・スティル・ヒア』シーン写真

 抑圧の時代に、真実を語り続けたひとりの女性の静かな叫び。世界が忘れた「声なき物語」が、いま再び蘇る―。『セントラル・ステーション』で国際的評価を築いたウォルター・サレスが、長編としては16年ぶりに祖国ブラジルにカメラを向けた本作は、軍事独裁政権下で消息を絶った政治家ルーベンス・パイヴァと、夫の行方を追い続けた妻エウニセの実話に基づいたドラマ。

 第81回ヴェネツィア国際映画祭で最優秀脚本賞を受賞。第97回アカデミー賞では、ブラジル映画史上初となる作品賞ノミネートを含む3部門に名を連ね、国際長編映画賞を受賞した。

 1970年代、軍事政権下のブラジル。元国会議員のルーベンス・パイヴァとその妻エウニセは、5人の子どもたちと共にリオデジャネイロで穏やかな日々を過ごしていた。だが、スイス大使誘拐事件を契機に、国の空気は一変する。抑圧の波が広がる中、ある日、ルーベンスは軍に逮捕され、そのまま連行された。愛する夫を突然奪われたエウニセは、必死にその行方を追う。しかし、その過程で彼女自身もまた軍に拘束され、数日間にわたる過酷な尋問を受けることとなる。

 極限の状況の中でなお、彼女は沈黙を貫き、夫の行方を捜し続けた。自由を奪われ、愛する人の消息も知らされぬまま、それでもエウニセは諦めなかった。夫の名を呼び続けたその声は、やがて静かに、しかし確かに、歴史を動かす力へと変わっていく―。

 幼少期にパイヴァ家と親交を持っていたサレス監督は、この記憶を、喪失と沈黙をめぐる私的な問いとして丁寧に掘り起こした。自由を奪われ、言葉を封じられても、彼女は声をあげることをやめなかった。サレス監督は、理不尽な時代に抗い続けたひとりの女性の姿を、美しくも力強い映像で永遠の記憶として刻みつける。

 エウニセを演じるのは、サレス作品の常連でもあるフェルナンダ・トーレス。静かな闘志と深い慟哭を織り交ぜた演技で、第82回ゴールデングローブ賞主演女優賞を獲得し、第97回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。エウニセの老年期を演じたのは、フェルナンダ・トーレスの実母であり、サレス監督作『セントラル・ステーション』に出演したフェルナンダ・モンテネグロ。母と娘、ふたりの俳優が、記憶と時代、そして命の継承を映し出す。

 本ポスターは、リオデジャネイロの海辺で過ごす穏やかな家族の時間が収められたもの。果てしなく広がる青空の下、寄り添うパイヴァ夫妻とその子どもたち。かつて確かに存在した<幸せ>の風景の横に添えられた「言葉を奪われた時代──彼女はただ、名を呼びつづけた」というキャッチコピーが、これから家族が辿る運命を静かに予見させる。

 シーン写真は9点。仲睦まじく暮らすパイヴァ夫妻や家族の様子のほか、そこから一転、夫が消息を絶った後に残された妻たちの不安げな姿も。かつての幸福と絶望、対照的な二つの世界が切り取られたものとなっている。

 映画『アイム・スティル・ヒア』は、8月8日より全国公開。

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