ミュージカル『PandoraHearts』2.5次元作品初参加の2人が語る! 作詞・高橋亜子&音楽・富貴晴美SP対談公開
――お互いの音楽や作詞に対して、どんな印象をお持ちですか。
高橋:富貴さんの音楽を聴いていると、私の訳詞のプロセスに近いものを経て生み出されているんじゃないのかなと感じるんです。私は訳詞をするときに、元の言語の歌詞の意味をそのまま訳すことはしていなくて、元の歌詞が生まれた“源泉の感情”に自分をくぐらせるというか。自分がその感情にアクセスして、そこから出てくる言葉を写し取っていく。それが私にとってはすごく大事な部分なんですが、富貴さんの音楽からは同じような、感情から生まれる広がりや深さを感じられるのでリスペクトしています。
富貴:ありがとうございます。私もそういう風に高橋さんが作られているんだろうなと、今回の歌詞やこれまでの作品から感じていました。お話を聞いて、同じタイプだとわかって嬉しいです。
――「PandoraHearts」からはどんな感情を拾われたのでしょうか。作詞や作曲で大事にされたことを教えてください。
高橋:原作もそうですが、今回は加えて、脚本を手掛けた山崎彬さん(脚本・演出)の想いを汲み取るという部分も大切にしました。登場人物が多く、時間軸も複雑な原作の構成を、どういう想いで脚本に落とし込んだのか。まずその意図を理解して、そこから登場人物の想いに潜っていく、二段階での作業をしながら書いていきました。
富貴:私も「なぜこのシーンで歌うのか?」をすごく考えました。歌い始める瞬間、どういう感情から音楽が始まるといいんだろう、と。なので、脚本や高橋さんの歌詞を何度も口に出して読んで、
感情を考えました。
高橋:普段、自分で脚本も書く場合は、先に音楽構成を考えて間を芝居で埋めていく感覚で作っているんです。今回はそれとはまた違った作り方だったので、難しかったですね。とくに大事にしたのは、言葉ひとつひとつが、そのキャラクターや、彼らが抱える孤独や苦しみを切り取れるようにする、という点です。
富貴:キャラクター1人ずつがどういう人物で、何を考えているのか。その人物の本質が分かる歌詞を高橋さんが書かれていたので、楽曲も1曲ずつ、メロディを聴けばその人物が浮かび上がるよう意識して作りました。普段の構成では、盛り上がるポイントを決めてそこに決めの楽曲を書くのですが、今回は全曲、決めの楽曲を書いている気分で。1曲書き終えると燃え尽きるぐらい、どの楽曲もハイカロリーでした。