ギャスパー・ノエが60回観た問題作『アングスト/不安 4K』11.6公開決定 新ポスター&予告解禁
映画『アングスト/不安 4K』(1983年)が、11月6日より全国順次公開されることが決定。新ポスタービジュアルと新予告編が解禁された。
【動画】殺人鬼の異常な心理と凶行を鮮烈な映像で描く! 『アングスト/不安 4K』新予告編
本作は、1980年にオーストリアで実際に起きた殺人鬼ヴェルナー・クニーセクによる一家惨殺事件を題材にした実録スリラー。刑務所を出所した殺人鬼の異様な行動と、不安やプレッシャーにさいなまれる心理状態を、凶暴かつ冷酷非情な描写と斬新なカメラワークで映し出す。
アメリカの映画サイト「Taste of Cinema」が選ぶ「史上最もダークなシリアルキラー映画」では、『ヘンリー』『セブン』『ハウス・ジャック・ビルト』などを抑え、堂々の1位を獲得。広義で“おそろしい映画”としては、『悪魔のいけにえ』が放つ存在感と同次元で語られ、唯一無二の傑作として捉えられている。
ギャスパー・ノエ監督も「60回は観た」と公言し、『CLIMAX クライマックス』『カルネ』などの自身の作品でもオマージュを捧げたという。
しかし、83年の公開当時は、そのあまりにショッキングな内容により、本国オーストリアではわずか1週間で上映が打ち切られ、他のヨーロッパ諸国でも上映禁止に。イギリスとドイツではビデオの発売も禁止され、アメリカではXXX指定を受けて配給会社が撤退したという。
日本でも劇場公開されず、『鮮血と絶叫のメロディー/引き裂かれた夜』というタイトルで1988年にレンタル用VHSが発売されたが、流通した本数はごくわずか。ほとんど誰にも観られることなく埋もれ、以降、観たくても観られない作品となっていた。
そして2020年、新型コロナウイルス感染症による混沌とした社会情勢のなか、日本で劇場初公開を迎えた。公開初週には、シネマート新宿とシネマート心斎橋で14回連続満席を記録するヒットスタートを切った。
監督は、殺人鬼の心理を探るという崇高な野心のもと、全額自費で本作を製作したジェラルド・カーグル。本作が唯一の監督作品である。観る者を冷徹な世界へ誘う不穏なエレクトロサウンドを手掛けたのは、元タンジェリン・ドリーム、アシュ・ラ・テンペルの作曲家クラウス・シュルツェ。また、狂人が内に秘めた“不安”をアーティスティックなカメラワークで映し出したのは、アカデミー賞短編アニメーション映画賞を受賞した『タンゴ』や、ジョン・レノン、ミック・ジャガーらのMVで知られる世界的な映像作家ズビグニェフ・リプチンスキ。
今回の4Kレストアは、オーストリア映画アーカイヴが長年にわたって本作の復元に熱意を示し、ジェラルド・カーグル監督に申し出たことで実現したもの。カーグル監督の監修のもと、傷やノイズの軽減はもちろん、画面の揺れを補正し、色彩やコントラストも改善した。
この4K素材による日本公開に向け、本作の権利者であるカーグル監督自らが本編素材を手配することになっていたが、月日が経過してもなかなか届かず、関係者全員が文字通り不安に包まれていた。そんな中、先日本編素材が無事到着。急ピッチで公開準備が進められ、このたび解禁を迎えた。
今回解禁となった新ポスタービジュアルは、『U・ボート』『アンダーワールド』に出演した俳優アーウィン・レダー扮する殺人鬼Kの見開かれた目と、得体の知れないおののきに満ちた表情を切り取った1枚。左側に添えられた「俺の衝動を ふたたび解き放つ もう手遅れだ」というコピーには、刑務所を出所したばかりのKの心境と、4Kレストアによる本作の帰還が重ねられている。さらに、狂人を再び世に解き放ってしまったことと、このタイミングでの情報解禁という二重の意味での「手遅れ」も込められている。
新予告編には、鮮やかにレストアされた映像を使用。初公開時に引き続き予告編を編集した映像編集者からは、「久しぶりに観たところ、近頃頻発している家屋侵入事件と重なり、相当恐ろしく感じた」というコメントが寄せられた。
映画『アングスト/不安 4K』は、11月6日より全国順次公開。
