タル・ベーラ監督、7時間18分の傑作『サタンタンゴ』携え8年ぶり来日

ハンガリーを代表する巨匠タル・ベーラ監督の映画『サタンタンゴ』(1994)の4Kデジタル・レストア版が日本で9月に劇場公開されるのに合わせ、同監督が約8年ぶりに来日することが決まった。舞台あいさつを行う予定だ。
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本作は、ハンガリーの寂れた村を舞台に、死んだはずの男が帰ってきたことから惑わされる村人たちの姿を描く。『ニーチェの馬』『ヴェルクマイスター・ハーモニー』などの作品で知られるタル監督が足かけ4年をかけて完成させた7時間18分の大作で、全編約150カットという驚異的な長回しで描かれている。
ジム・ジャームッシュ、ガス・ヴァン・サントといった映画監督たちに大きな影響を与え、米国の作家スーザン・ソンタグは「7時間すべての瞬間が圧倒的で心を奪われる。残りの人生で毎年観たい傑作」と激賞。製作から25年たった現在でも米映画評論サイト・ロッテントマトで批評家からの100%評価を維持し続けている。原作はクラスナホルカイ・ラースローの同名小説。ラースローは2015年に英国の文学賞・ブッカー国際賞を受賞している。
今回の4Kデジタル・レストア版は、35ミリフィルムにこだわり続けてきたタル監督が初めて許可したもの。今年2月の第69回ベルリン国際映画祭ではフォーラム部門に正式出品され、1994年にフォーラム部門でワールドプレミア上映されてから25年振りのベルリン国際映画祭凱旋を果たした。その際に登壇した同監督は「強くなれ、抵抗しろ、外に出ろ」と観客へ向けて力強いメッセージを発信。今回の来日では日本のファンにどのような言葉を投げかけるのか、期待が高まる。
タル監督は『ニーチェの馬』(2011)を最後に監督業からの引退を表明している。
映画『サタンタンゴ』4Kデジタル・レストア版は、9月13日より公開。