小さなパン屋に訪れた運命を変える出会い 実話から生まれた『モロッコ、彼女たちの朝』公開決定
第92回アカデミー賞モロッコ代表に選ばれた映画『ADAM(英題)』が、邦題を『モロッコ、彼女たちの朝』として、8月に公開されることが決定。異国情緒漂う予告編、ポスタービジュアル、場面写真13点が解禁された。
【動画】孤独を抱えた2人の女性が出会い、互いの人生に光をもたらしてゆく 映画『モロッコ、彼女たちの朝』予告編
本作は、地中海に面する北アフリカのモロッコを舞台に、孤独を抱えた2人の女性が出会い、伝統的なパン作りを通して互いの人生に光をもたらしてゆく様を描くヒューマンドラマ。新星マリヤム・トゥザニ監督が、過去に家族で世話をした未婚の妊婦との思い出をもとに作り上げた作品で、女性監督作として初めてアカデミー賞モロッコ代表に選出された。
製作・共同脚本は、アラブ圏を代表する映画監督のひとりで、トゥザニ監督の夫でもあるナビール・アユーシュ。主演を務めたのは、『灼熱の魂』で世界各国の映画賞を受賞し一躍注目を集めたルブナ・アザバルと、日本で出演作が公開されるのは本作が初となるニスリン・エラディ。
家父長制の根強いモロッコ社会で女性たちが直面する困難と連帯を、フェルメールやカラヴァッジョといった西洋画家に影響を受けたという質感豊かな色彩と光で描き出した本作は、第72回カンヌ国際映画祭ある視点部門へ正式出品されたのを皮切りに、世界中の映画祭で上映。「飾り立てず、それでいて芸術的」(The Age) 「心打たれる」(Los Angeles Times)「繊細な絵画のよう」(World Film Reviews)「美しさと強さを兼ね備えた映画」(euronews)などと喝采を浴びた。
臨月のお腹を抱えてカサブランカの路地をさまようサミア(ニスリン)。イスラーム社会では未婚の母はタブーで、美容師の仕事も住まいも失った。ある晩、路上で眠るサミアを家に招き入れたのは、小さなパン屋を営むアブラ(ルブナ)。アブラは夫の死後、幼い娘ワルダとの生活を守るために、心を閉ざして働き続けていた。パン作りが得意でおしゃれ好きなサミアの登場は、孤独だった親子の生活に光をもたらす。商売は波に乗り、町中が祭りの興奮に包まれたある日、サミアに陣痛が始まった。生まれ来る子の幸せを願い、養子に出すと覚悟していた彼女だが…。
予告編は、軽快なアラブ音楽にのせ、ふたりの女性が出会うところからスタート。パン屋を営むアブラは、行くあてのない妊婦のサミアを家に招き入れ、モロッコの伝統的なパン作りを通して互いに心を通わせていく。「お腹の子はどうするつもり?」と聞かれ「養子に出すわ。私と居ても幸せになれない」と答えるサミアに、「本当にそれで良いの? 私は夫を事故で亡くした。後悔する別れだけは選ばないで」と諭すアブラ。そして、サミアに陣痛が始まり…。運命に翻弄されながらも彼女たちの人生が再び動き出す、希望にあふれた“始まり”を感じさせる予告となっている。
ポスタービジュアルは、陽の光に照らされて微笑むアブラとサミアのほか、笑顔を見せるアブラの娘ワルダ、焼きたてのビスコッティなどの写真を配置したもの。横には「どうか、心のままにーー」というコピーが添えられている。
場面写真は、アブラとサミアが粉の様子を確かめながらパンを作る姿や、エキゾチックなインテリアの部屋でサミアが赤子を見下ろす姿、アブラと娘のワルダがキッチンで夕食の準備をするシーンなどが切り取られている。
映画『モロッコ、彼女たちの朝』は8月全国公開。