子どもも大人も、一緒に楽しめる物語『チョコレート・アンダーグラウンド』、鈴木アツト×國崎史人×仁木祥太郎座談会
関連 :
「こつこつプロジェクト」3rdでの試演会の様子 写真提供:新国立劇場
――プロジェクトで“こつこつ”作品を作ってきたことで、どんな発見がありましたか?
鈴木:まずしっかりと台本を読み込んで、みんなで話し合う時間を持てたのがとても良かったなと思っています。それぞれの役の戯曲には描かれていない人生についても、みんなでディスカッションすることができたんです。普段から主要な役についてはそういう時間を持つことはありますが、今回はほんの一瞬しか登場しない役の背景まで、じっくり考えることができました。
試演会のフィードバックで得るものも大きかったですね。思っていたよりも反応が良いからと、そのシーンを広げてみたり、セリフを足してみたり。客席にビラを配るシーンがあるのですが、実際にやってみると、僕が想像していた以上に俳優自身が楽しそうだったんです。試演会で実際にお客さんに観てもらって刺激を受けることで、いろいろなアイディアが膨らみました。通常の現場ではなかなかできない、とても贅沢な作り方だったなと思います。
――俳優さんにとって、「こつこつプロジェクト」はどんなものでしたか?
仁木:僕は、言葉の持つ意味が深くなっていくように感じました。例えば、稽古を重ねるにつれて、「チョコレートって何だろう」と考える時間が増えていったんです。チョコレートという甘いお菓子がなくなったという事実だけではなくて、「みんなにとってのチョコレートはいったい何を指しているんだろう」「日々のちょっとした楽しみが制限されるって、どういうことなんだろう」と。現実離れしたストーリーのように思っていたけれど、世界の情勢も少しずつ変わっていく中で、もしかしたら全然遠い話ではないのかもしれないなあって。
鈴木:今、世の中はナフサがないとか、実際に物資不足になってきているからね。
仁木:本当に。1st・2ndを経て、3rdで再び稽古に戻ったときには「みんな蓄積しているね」というコメントをいただきました。俳優自身の身体やマインドが、台本や役、そして世界で起きていることを通して少しずつ変わってきているんですよね。時間をかけて作品と向き合ってきたからこそ、その変化を実感できたのだと思います。
國崎:僕はプロジェクトの途中から参加したので、やはり最初はプレッシャーもありました。でも、「こつこつプロジェクト」は上演を前提にしているわけではないんですね。それもあって、いい意味で無責任に自分の感覚を楽しみながら取り組むことができました。上演に向けて稽古をしていると、どうしても本番に照準を合わせて整えていく必要があります。でも、このプロジェクトは、うまくやらなくてはという必要がないので、自由に実験していこうという姿勢で取り組めます。とても温かくて素敵な場所と仲間たちだなと感じました。
◆舞台と客席を繋ぐ仕掛け
【公演概要】
新国立劇場の演劇 20の物語 -週末を、劇場で- 『チョコレート・アンダーグラウンド』
7月25日18時
7月26日13時
8月1日13時
8月2日13時
東京・新国立劇場 小劇場
◆原作
アレックス・シアラー
◆翻訳
金原瑞人(『チョコレート・アンダーグラウンド』求龍堂・刊)
◆脚色・演出
鈴木アツト
◆出演
國崎史人
仁木祥太郎
柳内佑介
斉藤悠
篠原初実
佐乃美千子
※仁木祥太郎の「祥」は、しめすへんが旧字体の「示」が正式表記
◆チケット料金
おとな(中学生以上):5500円
こども(4歳~小学生):2750円
※推奨年齢:10歳以上
【公式サイト】https://www.nntt.jac.go.jp/play/short-stories/