『うま -馬に乗ってこの世の外へ-』開幕! WEST.小瀧望、“極悪人”役に「たまに心が痛むときが(笑)」
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■演出・藤田俊太郎
ここまでキャスト、スタッフ、カンパニー一同稽古を積み重ねてきました。
様々な趣向と創造力を駆使して創作した作品です。皆さんに自信を持ってお贈りできる事を幸せに思っております。
僕自身、(作品の舞台と同じ)東北の秋田県出身なので小さい頃から親しんでいる環境です。敬愛する井上ひさしさんの未上演作品に挑戦できることはこの上ない喜びです。
言葉、物語を大事にエネルギーに溢れた作品に新しい気持ちで取り組みました。もし井上ひさしさんに実際に観ていただけたら楽しんでいただけるのではないかと思っています。
小瀧望さんは、身体的にも思考的にもアイデアを持っている方で、稽古場では小瀧さんのアイデアに音月さんがさらに違う視点で切り込んでくださり、それを梅沢さんががっしりと見て全体を受け止めてさらに深い愛で作品を包み、そこに安井さんが違った角度で僕に切り込んできました。カンパニー全員で創作し、どんどん作品が上昇していく良い稽古場でした。
皆さんのことももちろん尊敬していますが、稽古を通して【演劇人 小瀧望】を尊敬しています。
この作品の中には、喜劇に見せかけた悲劇や、悲劇に見せかけた喜劇がたくさんあって、村という共同体を善き者が変化させるのではなく、太郎という悪なる者が変えていく様が、芝居のどこに潜んでいるのか、その仕掛けをお客様に楽しんで発見していただけるように作品を演出しています。お客様には劇場にお越しいただいて、大いに泣いて大いに笑っていただけたらと思っています。
■小瀧望
この作品は井上ひさしさんの若かりし頃の荒々しさみたいなものがどこか残っていて、この物語の時代の言葉に、すごく現代っぽい言葉も入り混じっていて役者たちは非常に悩みましたし、苦しみました(笑)。テーブルワークから始めて、「(井上先生が)何を描きたかったのか?」と日々役者同士で意見を出し合って、なんとか井上先生に食らいつきました。皆さんと台本を読んだとき、こんなにもこの作品はコメディなんだということを感じて、悲惨なシーンも中にはありますが、軽快な会話を滑稽に思って楽しんでいただけたらと思います。
藤田(俊太郎)さんは「最初からこうです!」と提示する感じではなくて、役者に自由にやらせてくださって、そこからどんどん自分の太郎を引き出してくださる方なので色々なことに挑戦できて楽しかったです。井上ひさしさんを実際に知る梅沢(昌代)さんがいらっしゃることも自分にとっては本当に大きな支えで、精神的支柱になっていました。アドバイスをいただくこともありましたし、稽古中のテーブルも隣だったので「井上さんはこうだったんだよ」というお話をしていただくこともありました。
最初から最後まで徹底的に強情で薄情な極悪人の役は初めてなので、とても刺激的で日々楽しみながら演じていましたが、たまに心が痛むときがありました(笑)。太郎という人物の選択は、小瀧望の中にはない選択が多いので、それはなぜなんだろう? ということを模索することは難しかったです。ある日、「こういうことか!」と思えた時に、スッキリした感情と共にどんどん自分が太郎の思考に近づいていて恐ろしくも感じましたが、悪役と向き合う日々は充実していました。
初めてのことに挑戦することはとても怖かったりもしますが、今回はプロフェッショナルなスタッフの方々と、素晴らしい魅力あふれるキャストの皆様に支えられているので、何も怖がらずにトライ出来ました。『うま―馬に乗ってこの世の外へ―』という井上ひさしさんの幻の戯曲に世界初演として挑むことが出来て本当に幸せで、誇りに思います。この作品の魅力を存分に伝えたいですし、皆で一生懸命、チーム一丸となって約1ヵ月半挑んできたので、いよいよ皆様にお届けできるということを幸せに思います。
本当に内容が濃いので、井上先生の言葉を余すことなくひとつひとつお届けできればと思います。難しいことは考えず、ただ単純にこの物語や登場人物たちの滑稽な会話や、時々言葉を失うような恐ろしい出来事を体感してほしいなと思いますので、今年の夏は劇場でお待ちしております。
【公演概要】
PARCO PRODUCE 2026『うま-馬に乗ってこの世の外へ-』
7月8日~28日 東京・PARCO劇場
8月6日~12日 大阪・SkyシアターMBS
■作
井上ひさし
■演出
藤田俊太郎
■出演
小瀧望 音月桂 加藤梨里香 大鶴佐助 小松利昌
小林きな子 小柳心 尾倉ケント 森加織
安井順平 梅沢昌代
■公式サイト https://stage.parco.jp/program/uma