新木宏典、すべてを捧げるストイックな生き方に共感 『てらこや青義堂 師匠、走る』主人公の姿を通して伝えたい想い
直木賞作家・今村翔吾の青春時代小説『てらこや青義堂 師匠、走る』を、青木豪の作・演出で舞台化、8月に東京・池袋サンシャイン劇場にて上演される。物語の舞台は、江戸・日本橋。元忍びの身ながら寺子屋の師匠として生きる男・十蔵を中心に、各々事情を抱えた筆子たちとの日々や、かつての縁から陰謀に巻き込まれていくさまが描かれる。主演を務めるのは、2.5次元作品を中心に、舞台、映画、ドラマなど多彩な活躍をみせる新木宏典。「今の生き方に重なる部分が多い」と語る今回の役どころに、彼はどのように挑むのか。話を聞いた。
【写真】大人の男の色気があふれる!新木宏典、撮りおろしショット
◆「十蔵は、僕のイメージそのもの」――ストイックな生き方に共感
――今回、直木賞作家である今村翔吾さんの小説が原作となっています。台本をお読みになった時の第一印象はいかがでしたか?
新木:とても分かりやすいストーリーだな、というのが第一印象です。誰が見ても理解しやすい、起承転結のはっきりした物語の制作には、東映さんはとても相性が良くてピッタリじゃないかと思ったんですよね。より多くの方に届くような、楽しんでいただける作品になるんじゃないかと感じました。
――どのような経緯で、主演の十蔵役を演じられることになったのでしょうか。
新木:4年ほど前、僕のチーフマネージャーがこの原作を読み、「これを新木で舞台化したい」と密かに温めていたと聞いています。その後、東映さんに企画を持ち込んだことで、実際にこのプロジェクトが動き始めたそうです。そういった流れがあっての舞台化なので、十蔵という役は、おそらく外から見えている僕のイメージ通りなんだと思います。
――十蔵は寺子屋の師匠であり、元隠密という人物です。ご自身にも重なる部分が多いそうですね。
新木:僕も極端な生活をしている人間なので、そこはすごく重なりますね。「これが僕の定めだ」というセリフがあるくらい、忍びとしての十蔵は、仕事をするためにプライベートの時間も忍んでいることが大前提。普段からの行いを、すべて忍びとしての仕事につながるよう、常に探しながら生きています。
僕は舞台の仕事が多く、さらに2.5次元作品と呼ばれるジャンルによく出させていただいています。漫画やゲーム、アニメなどが原作にある作品ですから、ある種“見た目の部分”で答えがすでに表に出ているんですね。だからこそ、その役を生身の人間が舞台で表現するとなった時には、違和感をなるべく減らしたいと考えます。
そして、キャラクターを演じる上で気をつけるべきことは、作品が決まってからやればいい、というものでもないんです。そういう役で呼んでいただくことが多いからこそ、日頃から気をつけていかなければならないことが多くあります。結果として、僕もプライベートの時間というのはほとんどない生き方をしているので、そういったところでは重なる部分がすごく多いように思いますね。そんな極端な選択をしている男というのは、端から見たら僕のイメージそのものに見えるのではないでしょうか。
――劇中では十蔵が筆子たちにいろいろなことを教えていく姿も描かれますね。後進に伝えていく、という部分でも今の新木さんのお気持ちに近いように思います。
新木:まず、僕がプレイヤーでいられる期限というのは限られています。そのことは、20代後半の時には、もうすでに容易に想像していました。30代に入って、いろいろな現場で実際にそれを痛感することも多々ありました。舞台の場合、概ね1ヵ月稽古をして1ヵ月本番をやります。1作あたり2ヵ月と考えたら、最大でも年6本しかできません。そう計算した時、自分が予想していた年齢に達するまでに残された本数は自然と見えてきます。そうなると、もう目の前の1つ1つの現場を丁寧にやっていくしかないわけです。
そういうマインドでやっていても、誰かに「引き継いでいきたい」と思ってもらえない限り、演劇界の歴史のなかで僕の取り組みはゼロになります。ただ、僕の考え方を一方的に伝えたい、というよりは、僕が持っているものを「引き継ぎたい」と思ってくれる人に出会いたいです。1つ1つの現場の時間はそのための時間なんじゃないかと、30代からはずっと思っていますね。
だから、出会いはすごく大切にしていきたい。一緒にやっている人たちの誰がそうなるのかも分からないですし、全員に伝えることは不可能だと思います。伝えたところで、それを「美学」だと考えられる人に伝えない限り、良いものとしては残っていきません。そうなると、僕が伝えられる確率的にはかなり低いものであることは想像できてしまいます。たくさんの方々と共演するなかで、そこに淡い期待を持ちながら、目の前のことに一生懸命、変わらずに取り組んでいくということを続けるしかない。結局は、そんな答えに行き着きました。
◆青春時代は人の顔色を窺わず「周りと違っていた自覚がある(笑)」
【公演概要】
舞台『てらこや青義堂 師匠、走る』
■作・演出:青木豪
■出演:新木宏典 彩みちる 一色洋平
八木美樹 小島歩琉 大熊蒼空 村山暁 久保田直樹
鈴木幸二 伊与勢我無 南誉士広
姜暢雄 山本亨
下島一成 淡海優 小泉凱 中野貴文 結木雅
■会場・日程 2026年8月14日(金)~8月30日(日) 東京:サンシャイン劇場
■公演特設HP https://toei-stage.jp/terakoya-seigido/
■公式X @Toei_stages (https://x.com/Toei_stages)