糸川耀士郎「この作品が僕であり、僕がこの作品である」 1人音楽劇『夜啼鳥』再演に込める特別な思い

――この1年で特に成長したと感じる部分と、それを踏まえて今回はどう作品にアプローチしていますか。
糸川:『夜啼鳥』をきっかけに、歌をもっと追求したいって思うようになりました。ありがたいことにこの1年はミュージカル作品が多くて、いろんな種類のミュージカルを経験させてもらった中で、素敵な歌唱指導の先生方に出会えて、インプットしてアウトプットできる環境が整っていた。歌に関してシビアに自分と向き合える機会があったので、ここは大きく初演とは変わってくると思います。
あともうひとつ、芝居の面で言うと、初演の映像を観て、全然テンポを掌握できていなかったという反省点があって。「もっとここのセリフは畳みかければ面白いのに」「もっとお客様をいい意味で振り回せるのに」って。あの時は怖くて、セーフティにお芝居してしまった部分があったと思います。セリフに追いつけない自分が出てしまうんじゃないか、セリフが飛んじゃうんじゃないかって、無意識にブレーキがかかっていた部分があって。
でも今回は「突き抜けよう」と。この1年で歌に取り組んで発声も勉強したことで、芝居をセーブせずいけるだろうと思えるようになったこともあり、芝居のテンションの高低差なんかは初演とは全然違うものになると思います。
――怖くてブレーキを踏んでいたとのこと。初演で1番怖かったシーンはどこでしょうか。
糸川:やっぱり冒頭ですね。ネロがいかにして生まれたか、それ以前の皇帝たちの物語を語る説明的なパートがあるんです。それが長台詞で。まぁ、全部長台詞なんですけど(笑)。あそこで噛むと、そのあとメンタルを引きずるから、噛めない。無意識のうちにブレーキがかかっていた気がします。
――今回はその恐怖なく、アクセルを踏めている?
糸川:今のところは(笑)。劇場に入ったらまた恐怖が生まれてくるかもしれないんですが、今のところはイケイケのアクセル全開みたいな感じです。でも同時に、前回の眠れないくらい追い詰められた経験が自分を強くしたんじゃないかっていう考えが、頭のどっかにあって。稽古外でリラックスしていると、「ちょっと待て、あの追い詰められた経験がお前を強くしたんじゃないのか?」、「お前何休んでるんだ」と。もう1人の糸川が出てきて、リラックスしている糸川に言うんですよ(笑)。
楽がしたくて再演という形にしたわけじゃないのに、ちょっと慣れている自分がいるのか? いや、そんなことないだろう、やれることはやっているだろうと。今のところ、自問自答しながら、いい感じで自分を追い詰めることはできているなと思います。
――中屋敷さんとの稽古場でのやり取りはいかがでしょうか。
糸川:やしきさんって本当に無邪気で、こういうローマの話が大好きなんですよ。僕がお芝居しているのを演出席から見ながら、めちゃくちゃセリフを言ってくるんです。僕より先に。「ちょっとちょっとちょっと、先に言わないでくださいよ」と(笑)。でも、やしきさんが目の前で演じて見せてくれるから、「そうやってほしいんだな」とわかる瞬間がある。それを汲み取りながら稽古をしています。
◆地元・島根での凱旋公演が『夜啼鳥』であることはすごく幸せ
【公演概要】
糸川耀士郎 1人音楽劇『夜啼鳥』
7月30日〜8月1日:東京・CBGKシブゲキ!!
8月7日:石川・石川県教育会館 3Fホール
8月10日・11日:島根・ビッグハート出雲 白のホール
8月15日・16日:大阪・世界館
8月19日:福岡・レソラホール(レソラNTT夢天神ホール)
8月27日~30日:東京・新宿村LIVE
◆出演・企画
糸川耀士郎
◆脚本・演出
中屋敷法仁
◆音楽監督
YOSHIZUMI
【公式サイト】https://officeendless.com/sp/hitoriyonakidori
【公式X(旧Twitter)】 @hitori_ynkdr