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観劇デビューにぴったり! 大人も子どもも楽しめる音楽劇『アヤとピノッキオの冒険』稽古場レポート

演劇

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美山加恋

DJみそしるとMCごはん

 この日は、第一幕の通し稽古も行われた。コオロギによる、前説も兼ねたオープニングで観客の気持ちを引きつけた後、幕が開くとそこはアヤの小学校の教室。生徒役の出演者たちが元気いっぱいにはしゃぎまわり、子どもならではのパワーあふれる喧騒が立ち上がる。福田えりが、パワフルな生徒たちを温かく丸ごと包み込むような包容力ある先生を見事に演じていて、小学校の日常を見ているような臨場感を覚える。福田は第二幕に女神役として登場するのだが、第一幕で先生役を務めていたことを心に留めておいて欲しい。


 通し稽古終了後に演出の野上が「ずっと楽しくて、あっという間だった」と述べたように、最初から最後まで飽きさせない作りとなっている。「ピノッキオの冒険」の物語を知っていても、先の展開がどうなるのかハラハラドキドキさせる脚本の妙、劇場の高さや奥行きを生かして空間を広く使った演出のダイナミックさ、高度なテクニックを使いながらも思わず真似したくなるようなわかりやすさも兼ね備えたダンス、バリエーション豊かな曲調でありながらどれも耳なじみのいい歌、演技・歌・ダンスとそれぞれに確かな実力を持った出演者たち、と本作を構成する要素はどれもクオリティが高く、ファミリーフェスティヴァルが掲げる狙いの通り、観劇が初めてという子どもでも楽しむことができ、舞台をよく見ている大人でも満足できる作品になることが十分に期待できる。中でも、本業はヒップホップアーティストのおみそはんが劇中で披露するラップは大いに“聴きどころ”となるだろう。


 全体的にテンポがよく、緩急の付け方もうまいので、ずっと目を引きつけられる。各キャラクターの個性も際立っていて、それぞれに魅力的だ。作品を牽引する力を持った美山の存在感と、緊迫したシーンでも独特の柔らかい雰囲気で場を和ませるおみそはんの組み合わせが絶妙で、かわいらしさと力強さが作品の中で見事に共存している。実力派の共演者たちがしっかりと土台を支えていることも後押しして、ここからさらに作品の世界が広く深く壮大なものとして立ち上がっていくだろう。

 そして、物語が進むにつれ、アヤとピノッキオをはじめ、登場人物たちがどのような成長を見せるのかも楽しみだ。9歳のアヤと、知らないことだらけで純粋無垢なピノッキオは、選択を間違えてしまうこともある。しかし、完璧な人間などきっといないし、人間は失敗することで学んで成長していく。大切なのは間違えないことではなく、間違えに気づいたときにどう行動するかではないだろうか。アヤとピノッキオの姿を見ながら、そんなことに気づかされた。

 キャストがとにかく楽しそうに演じているのが伝わってくるところも好感が持てる。陽のエネルギーに満ち満ちていて、見ている側も思わず笑顔になってしまう空気感がある。実際、稽古場は常に和やかな雰囲気で、笑いもよく起こっていた。出演者やスタッフが自主的に声をかけあっている様子も多々見られ、コミュニケーションがしっかり取られている風通しのよい稽古場という印象だった。この稽古場から生まれた作品ならば、観る人の心を温めてくれることは間違いない。歌とダンスに彩られたアヤとピノッキオの大冒険を、時にハラハラしたり、切なくなりながらも、劇場でたくさんの観客と一緒に楽しく見守ることのできる本番が今から待ち遠しい。

(取材・文:久田絢子 写真:曳野若菜)

 音楽劇『アヤとピノッキオの冒険』は、8月21日~23日に東京・日生劇場ファミリーフェスティヴァル 2026、9月5日に山口・シンフォニア岩国 コンサートホール、9月12日に千葉県文化会館 大ホール、10月17日に熊本・市民会館シアーズホーム夢ホール 大ホールにて上演。

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【公演概要】

音楽劇『アヤとピノッキオの冒険』
音楽劇『アヤとピノッキオの冒険』ビジュアル

日生劇場ファミリーフェスティヴァル 2026 音楽劇『アヤとピノッキオの冒険』

■日程・会場
8月21日~23日 東京・日生劇場ファミリーフェスティヴァル 2026
9月5日 山口・シンフォニア岩国 コンサートホール
9月12日 千葉県文化会館 大ホール
10月17日 熊本・市民会館シアーズホーム夢ホール 大ホール

■出演
アヤ:美山加恋
ピノッキオ:DJみそしるとMCごはん
女神:福田えり
コオロギ:玉置孝匡

青山瑠里 大泰司桃子 小山雲母 家納ジュンコ
河内優太郎 河野萌 川原田樹 黒沼亮
小林風花 田中美希恵 谷本充弘 中野亮輔
水口早香 森山雅之 山川大智 米田沙織

■演奏
江草啓太(コンダクターキーボード/東京公演)
YUKA(コンダクターキーボード/全国公演)
坂上 領(フルート・EWI)
田ノ岡三郎(アコーディオン)
石川隆一(ベース/東京・千葉・熊本公演)
絲井勇太(ベース/岩国公演)
渡辺庸介(パーカッション)

■スタッフ
脚本・作詞:大池容子
演出:野上絹代
音楽:江草啓太
振付:北尾亘

美術:乘峯雅寛
照明:吉枝康幸
映像:松澤延拓
音響:佐藤日出夫
衣裳:藤谷香子
ヘアメイク:井上京子
歌唱指導:YUKA
稽古ピアノ:江草啓太 YUKA
ミュージシャンコーディネート:新音楽協会
演出助手:吉中詩織(「吉」は「つちよし」が正式表記)
舞台監督:八木清市 水谷翔子
制作:溝呂木有佳

■主催・企画・制作:公益財団法人ニッセイ文化振興財団[日生劇場]
■協賛:日本生命保険相互会社

<ウェブサイト>
https://famifes.nissaytheatre.or.jp/2026ayatopinocchio/
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