“戦争”をテーマにしながらもシリアスと笑いの緩急で上質なコメディに/劇団SET『愛と友情の大脱走』稽古場レポート
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三宅裕司、小倉久寛らを中心に創立された劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET/エスイーティー)。第64回本公演は、アメリカ出身で俳優・ナレーター・MCとして活動するブレント・オリアンをゲストに迎え、新作『愛と友情の大脱走 ~ラブ&ピースフォーエバー~』を上演する。公演を前に行われた通し稽古の様子をお届けする。
【写真】ゲスト出演のブレント・オリアンもすっかりSETになじんだ様子
◆シリアスと笑いの緩急はさすが! SETならではの上質なコメディに
この日は初の荒通しということで、開始前に演出の三宅が中心となって修正箇所を確認。緊張感もありつつ、セリフのニュアンスや動きの確認中も良い芝居や面白い場面があれば笑いが起きる。和気あいあいとした雰囲気の中で通しがスタートした。
本作の舞台は、ベトナム戦争を受けて日本で反戦運動が起きていた1960年代。ベ平連(ベトナム平和維持・連絡市民団体)の事務所に、脱走兵・トミー(ブレント・オリアン)が逃げ込んでくることから物語が動き出す。
トミーの脱走を手引きした人気歌手の恋人・桜木蘭子(良田麻美)、トミーを無事に逃すために奔走するベ平連のメンバーたち、それを手助けする人々、国の威信やプライドをかけてトミーを捕まえようとする日米の軍・警察関係者たち。
それぞれの事情や思惑が絡み合い、思わぬ事態に――。
こう書くと、戦争をテーマにした重たい話だと思うかもしれない。 だが、劇団SETは分かりやすくて誰もが楽しめる“ミュージカル・アクション・コメディー”を半世紀近く作り続けてきたカンパニー。本作も、歌やダンス、アクション、笑いをふんだんに取り入れつつ、ホロリと泣ける上質なコメディに仕上げている。
英語と日本語でコミュニケーションを取ろうとしてすれ違いによって生まれる面白さ、個性豊かなキャラクターたちの言動、各キャラクターが大切にする価値観や生き方など、冒頭からシリアスと笑いの緩急が抜群だ。また、前線に出る兵士たちの苦悩、各国の思惑、国同士の関係を知ることで、単純に「戦争は良くない」で終わらず、それぞれの立場や理想について自分なりに考えることができる。 若い世代の中には「ベ平連」や「ヒッピー」に馴染みがない人も多いだろう。だが、芝居を通してどんな考えを持つ団体か掴むことができ、歴史に関する知識に自信がなくても楽しめるのでご安心を。
トミーと蘭子のロマンスは、微笑ましくも切なく、応援したくなる。愛国心と戦争に対する恐怖、蘭子への愛といったトミーの気持ち、生い立ちが丁寧に描かれているため、観ている方も自然と彼を好きになるはずだ。歌手として成功しながらもトミーのために危険な橋を渡る蘭子の愛と覚悟に共感したり、憧れを覚えたりする方もいるのではないだろうか。
◆三宅裕司&小倉久寛の掛け合いに稽古場も笑いの渦
【公演概要】
劇団スーパー・エキセントリック・シアター第64 回本公演 ミュージカル・アクション・コメディー『愛と友情の大脱走 〜ラブ&ピースフォーエバー〜』
10月29日~11月8日:東京・サンシャイン劇場
◆脚本
吉井三奈子
◆演出
三宅裕司
◆出演
三宅裕司
小倉久寛
劇団スーパー・エキセントリック・シアター
◆ゲスト出演
ブレント・オリアン
【公式サイト】https://set1979.com/stage/2026/
【公式X】@SET_1979