ふぉ~ゆ~越岡裕貴主演『メイユール・ソワレ』開幕 標準語と関西弁が飛び交うコメディ
10月24日、京都劇場で開幕した越岡裕貴(ふぉ~ゆ~)主演の舞台『メイユール・ソワレ~最高の夜公演~』のゲネプロリポートが届いた。
【写真】ハードボイルドな翻訳劇の裏で、関⻄弁の役者たちの⼼の声が交錯⁉ 『メイユール・ソワレ』舞台写真
「THE ROB CARLTON」の村角太洋が作・演出を手がける本作は、標準語と関西弁が飛び交うウェルメイドなコメディー。舞台となるのは、翻訳劇を上演中のステージ、つまり舞台裏ではなく「舞台上」だ。マチネ(昼公演)を無事に終え、ソワレ(夜公演)の幕が開いたとき、思いもよらぬ事態が発生。予測不能のトラブルに見舞われながらも、公演を続けようと奮闘する4人の役者たちの姿が描かれる。
越岡裕貴、加藤将、村角ダイチ(THE ROB CARLTON)、三上市朗が、洗練されたユーモアと巧みな会話劇を繰り広げる、約2時間ノンストップの舞台。
舞台にハプニングはつきものというけれど、4人芝居のキャストのひとりが本番中のステージ上で完全に寝てしまったら、どんなことが起きるのか…。マチネとソワレの間に関西弁で繰り広げる素顔の役者たちの会話が、その後の劇中劇の伏線へとつながっていく。
2023年に「THE ROB CARLTON」が上演し、令和5年度大阪文化祭奨励賞などを受賞した『Meilleure Soirée』がグレードアップし、京都劇場に登場する本公演。幕が開くとそこはロンドン発の『男たちの番か?』日本版を上演する劇場のステージ。タイトルから連想する有名な映画とはまた違う、ハードボイルドな匂いを漂わせるキャラクター4人の風情が、どこかうさんくさくてまず笑いのツボを刺激する。
アイザック(加藤将)のペントハウスを訪れたヒューゴ(越岡裕貴)、ジェイコブ(三上市朗)、セオドア(村角ダイチ)は、裏社会と関係があり、微妙な距離感を保ちながら、それぞれ危険な思惑を抱いていることが、もったいぶった口調や仕草からうかがえる。特に越岡演じるヒューゴはキーパーソン。白のダブルスーツが似合い、知性を感じさせつつ、急にあるパフォーマンスを始めるなど、彼のキャラクター自体が予測不能だ。
劇中劇が終演すると、4人そろってのカーテンコールがあり、実際の劇場でも客電がついて終幕と錯覚するほどリアル。標準語で舞台を務めた役者たちは、マチネとソワレの休憩時間でオフの会話を繰り広げる。関西弁でのツッコミも見せつつ、芝居の打ち合わせや音響スタッフたちとのリアルなやりとりが展開。大阪出身の越岡や兵庫出身の加藤も苦労したという京都弁のナチュラルな響きは、先ほどのハードボイルドな劇とのギャップを感じさせる。
京都がルーツの村角と三上は、その関西弁があまりに自然過ぎるうえに役がフィットしていて、演じていることさえ忘れそうなほど。ただ、上里一太郎(三上)というベテラン俳優は、せりふ以外は覚えられないという弱点があり、小林茂篤(加藤)は幼い息子たちにハードボイルドな劇を見せるのをためらっている優しさがあるなど、キャラクターが色濃く表現されていて、バラバラな個性が面白さを増幅する。真っ赤なバスローブ姿が目立つ、越岡扮する高潔(たか・きよし)は、「役者の都合でテキスト(台本)を変えたらあかん」という信条の持ち主。海外へ戻ったこの作品の演出家にも、敬意を払う生真面目さがあるが、それが後半の劇中劇で自らを窮地に追い込む。
舞台上で始まったソワレ公演。気づけば、休憩の間にアレルギー薬を服用した前河原順(村角)が、副作用でぐっすり寝ている。彼のせりふがないと劇が進まないというピンチに立たされた残りの3人は、舞台を続けるために必死であの手この手を尽くし乗り切ろうとする。「そんなわけないやろ!」と関西人ならツッコミたくなる芝居も、真面目に、ときに投げやりにつないでいく。
さらに本作の大きなポイントは、後半の劇中劇で、それぞれが戸惑う心の声を自らその場で発していること。標準語のせりふと関西弁の心の声が交錯するカオスのなか、早口でまくしたてながら演技を重ねていく。
キャストたちはチームプレイでせりふを掛け合い、伏線を回収しながら進めていく。果たして劇中劇はどこへ着地するのか。本当のカーテンコールを迎えた4人は、やり切ったという「メイユール(最高の)」笑顔を見せていた。
舞台『メイユール・ソワレ~最高の夜公演~』は、京都劇場にて10月24・25日、銀座 博品館劇場にて10月28日~11月8日上演。
【公演概要】
舞台『メイユール・ソワレ~最高の夜公演~』
10月24・25日 京都劇場
10月28日~11月8日 銀座 博品館劇場
■脚本・演出:村角太洋
■音楽:村角ダイチ
■出演:
越岡裕貴(ふぉ~ゆ~)
加藤将 村角ダイチ(THE ROB CARLTON)/三上市朗