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“非・特撮ヒーロー俳優”中村倫也が今、仮面ライダー作品に出演した必然

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■“声で場を掌握”中村倫也の武器を遺憾なく発揮

 そして、信彦の特異なキャラクター性。彼は怪人たちを「立ち上がれ」「戦うしかないだろ」と焚き付け、大志を阻む者に対して憎悪をむき出しにする。現代パートでは表情、特に眉の動きが如実に見えるヘアスタイルになっており、無言で眼光鋭く見つめるシーンなど、表情の圧が映えている(身体全体から立ち上るただ者でなさを煽る衣装も含めて)。中村はこれまで『ファーストラヴ』や『不協和音 炎の刑事VS氷の検事』など凄みのあるクールキャラも演じてきたが、今回は烈火のごとき熱が染み出している役どころであるため、またタイプが異なる。しかも信彦は、いわゆるヒーローでもヴィランでもない。いまの歪な世を終わらせようとする破壊者だ。

 中村の武器のひとつとして、豊富な舞台経験に裏打ちされた「声で場を掌握する」があるが、革命家=カリスマとしての説得力は十二分。リーダーとなって同志を率いる際にも掛け声ひとつで統率し、その際の怒声にも似た声は観る者すらピリリと引き締めることだろう。反対に、ささやくような「変身」の発声は光太郎とも明暗のギャップを生み出し、耳に残る。

『仮面ライダーBLACK SUN』より(C)石森プロ・東映(C)「仮面ライダーBLACK SUN」PROJECT
 この“声の演技”は、変身後の姿でも非常に効いている。信彦や光太郎が変身するのは戦闘時だが、往々にして“怒り”の感情が渦巻いている。とすれば、役者としては最も猛(たけ)っているときに表情で見せられない状況でもあるわけだ。しかし、そんなときでも信彦の怒りや苦しみがヒリヒリと伝わってくるのは、中村の声の演技の豊かさゆえだろう。

■“観たかった中村倫也”がそこに

 また、目的のために向こう側にまで行ってしまった人物の過程を描いている点も本作の重要なポイント。本作は50年前と現在が交錯する構造になっており、若き信彦と今の信彦をどちらも中村が演じている。“革命ごっこ”を行っていたゴルゴムに入り、「暴力は必ずしも正解じゃない」と考えていた男がなぜ暴力を手段に据えるようになったのか……。その“変心”を伝える中村の演技が、過去と未来をつなぐ縁(よすが)になっているのだ。痛みを内に籠らせる光太郎と、外に放出しようとする信彦――。親友同士を演じる西島×中村の演技の色の違いは、そのまま作品のコントラストにもなっている。

 “中村倫也meets仮面ライダー”は、屈折しているようで純粋な、彼にしか演じられない“生きた”人物を作り上げた。そのため、「新境地」というより個人的には「観たかった中村倫也」の感覚が強い。そのクオリティが想像以上であり、視線を吸引されてしまったという流れだ。

 “じゃない方”の俳優であった中村が、堅実にキャリアを積み重ね、このタイミングで混沌とした世を穿(うが)つ新機軸の仮面ライダー作品に出演する運命――。『仮面ライダーBLACK SUN』での熱演は、必然の臨界点突破といえるかもしれない。(文・SYO)

 『仮面ライダーBLACK SUN』は、Amazon Prime Videoにて独占配信中(全10話)。

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