『田鎖ブラザーズ』猛烈に怖かった第6話。静かな圧力で迫る“とんとん先生”に身震い
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では、秦野とは何者なのか。第7話予告の「私は仕事をしただけですよ」という台詞が、ひとつの答えを示しているようにも思う。彼女の指す「仕事」とは、被害者への共感や犯人への怒りではなく、信念。「とんとんが正義」という歪んだ確信のもとに動いている人物像が浮かび上がる。ただし、秦野の言う「とんとん」理論には、突っ込みも入れたくなる。特に第5話。大学受験に落ちた息子(齋藤潤)を持つ温子が、採点ミスを隠した大学理事長を殺した(とされる)事件。採点ミス隠ぺいと理事長の死が「とんとん」? 秦野の「正義」は、結局、彼女が人をコントロールする喜びのために立てられた「正義」でしかないのではないか。
歪んでいようと、秦野なりの正義で動いているとして、なぜわざわざ刑事である真に近づいたのか。すでに相談者・宇野孝道(山本浩司)には疑いが持たれている。自分へ捜査が及ぶのも時間の問題だ。警察内部から捜査を遮断できる存在が必要だったのだろうか。“田鎖”という聞き及びのある、過去の事件の遺族・真はその標的になりえる。
そしてあのクライマックス。真の涙は本物だったのか。「本当は何か作る仕事がしたかった。父ちゃんみたいに」。相談室で、真は涙を流した。あれは演技だったのではないか。真というキャラクターを振り返るに、第1話から、オープンカフェで通りすがりの女性たちの雑談が耳に入るや、戻って座り聞き耳を立てていた真。第6話の冒頭で、スリを捕まえたのも、偶然といえば偶然だが、日常的に街の様子に気を配っていた結果だろう。「牛を育てる」携帯ゲームも彼の性格を表している。感情的な面を見せることもあるが、根っこでは、コントロールする(したい)側の人間だという印象がある。そんな真が、よく知りもしない相手に、あの短時間で落ちるだろうか。
ドラマ『田鎖ブラザーズ』場面写真(C)TBSスパークル/TBS
そもそも真は、当初から犯人に“復讐”したいと思い続けてきた。犯人ととんとんでは?と言われたところで、響く要素がない。最初の事件の犯人が、復讐を遂げようとしていた際にも、「いいんじゃないですか」と言い放っていた。防犯カメラに映る宇野の姿も、チームに報告していない。もともと、真は真自身の正義で動いている。復讐心を焚きつけるという懐への入り方は、真には通じない。もし仮に、秦野がいま、真が復讐すべき相手として導くのならば、当時の担当刑事だった小池か、ということになるが。
さらに「一人で抱え込むのは苦しくないですか」と秦野は孤独に入り込もうとするが、秦野の計算には、見落としがある。真には稔がいる。「家族にも言えないことがあるでしょう」と隙間に入ろうとしていたが、それでも真は一人ではない。そのことは、なにより真自身が、一番分かっているはずだ。
真と稔。復讐のために警察官になったふたりの兄弟が、どう互いを信じ、どう真実に辿り着くのか。物語は核心に近づきつつある。(文:望月ふみ)
金曜ドラマ『田鎖ブラザーズ』はTBS系にて毎週金曜22時放送。
