リオ五輪・開幕記念! オリンピックにまつわる映画の多彩な切り口
ガツっとシリアスに。国を背負っての大会であることから、戦争やテロによって開催地に危険が及んだり、選手やそれを取り巻くスタッフ、家族、ひいては国民全体が翻弄されるという悲しい現実もオリンピックに見る側面だ。スティーヴン・スピルバーグ監督作『ミュンヘン』(06)は、1972年、ドイツ・ミュンヘン大会で起きたパレスチナ武装組織「黒い九月」によるアスリート人質・殺害事件の真相に肉迫し、昨年、日本軍の描写で論争を巻き起こしたアンジェリーナ・ジョリー監督作『不屈の男 アンブロークン』(16)では、陸上5000m走の元アメリカ代表選手が過酷な捕虜生活を文字通り不屈の精神で克服する姿が描かれた。
そして、『栄光のランナー/1936ベルリン』という映画が8月11日に公開される。1つの大会で4つの金メダルを獲得する快挙を成し遂げた黒人選手ジェシー・オーエンスに焦点を当てた感動作。根深い人種差別の残る第二次大戦前最後のベルリンオリンピック(後に“ヒトラーのオリンピック”と呼ばれる)をめぐり、様々な人間の思惑が渦巻く中、オーエンス選手が偉大な記録を打ち立てた激動の2年間を描いている。メガホンを取ったのは『プレデター2』『リーピング』のスティーヴン・ホプキンス。
オリンピックにまつわる映画といっても、実に多彩な切り口がある。ここに挙げた作品はほんの一例だが、これを機会にオリンピックの歴史やアスリート伝説、さらにはオリンピックを巡る論争や事件など、勝負の裏側にある様々なドラマを映像でひも解いてみてはいかがだろう。