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傑作『エクソシスト』の恐怖を“深堀り” 母クリスの不安、汚されたマリア像の謎…原作小説から検証

映画

●悪魔の正体とは―?

 我々を恐怖させる悪魔とは結局、何者なのか。映画ではパズズ=悪魔であることが強調されるが、改めて小説から解釈を探ってみたい。お前は誰だ―? 再三の問いかけに、悪魔は「のうぉんまい」と答える。謎めいた回答を録音したテープを逆再生すると、それは「おれは誰でもない」という英語だった。

映画『エクソシスト』(1973) 写真提供:AFLO
 つまり、リーガンに憑依した存在はメリン神父にしてみれば因縁の悪霊パズズ、カラス神父にとっては不実を責める亡母、クリスとリーガンには夫と父の不在を連想させるハウディー船長として映る。人間の恐れを投影した「誰でもなく」、同時に「誰でもある」存在なのではないだろうか。

 悪魔は言う。「おれに名はない。しかも大勢だ」。小説ではクリス邸の近所にはヒッピー酒場があり、麻薬常用者や狂信者の巣窟となっている。悪魔は同時に大勢に憑依することができる。これが教会の冒瀆行為の犯人探しのヒントになるかもしれない。

映画『エクソシスト』(1973) 写真提供:AFLO
 人知を超えた悪魔憑きの恐怖に、名優陣の力演と衝撃の特撮映像で迫る映画版と、その恐怖の根底にある不安や苦悩を力強い文体で炙りだす小説版。それぞれの長所を押さえれば、『エクソシスト』の味わいは何倍にも深く、濃密になる。新しい映画化の続報を待ちつつ、この名作を存分に堪能しよう。(文・山崎圭司)

参考文献:『エクソシスト』(新潮社)

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