鈴木保奈美、20代の自分に伝えたいメッセージ「ちゃんとした、良い人じゃなくてもいい」
女優として華々しいキャリアを重ね、結婚・出産を機に、いったん芸能活動を休止していた鈴木保奈美。2008年に復帰した後は映画やドラマでの女優業のほか、エッセイの執筆など、多才ぶりを発揮している。次に挑むのは、25年ぶり2度目の「舞台」出演となるアーサー・ミラー作、段田安則主演、パルコ・プロデュース2022『セールスマンの死』。実は本作は、待望の仕事だったというが、その理由とは。さらに、女性としての生き方や育児について、年を重ねることの良さについても語ってもらった。
【写真】凜(りん)とした美しさが魅力的! 鈴木保奈美、撮り下ろしショット
25年ぶり2度目の舞台出演は「やります!」と即答
過酷な競争社会、若者の挫折、家庭の崩壊を描き、トニー賞、ニューヨーク劇評家賞、ピューリッツア賞を受賞した近代演劇の金字塔となる本作。鈴木は、段田演じる主人公ウィリーを支える妻リンダ役を演じる。
――25年目2度目の舞台出演として、本作のオファーを受けた決め手は、どんなことでしたか。
鈴木:実はここ数年、いろんなところで「舞台に出たい」とずっと言っていたんです。そんな中、やっと声をかけていただいて。『セールスマンの死』は有名な作品ですし、なんとなくは知っていたのですが、PARCO劇場で段田さんとご一緒できると言うだけで、もう「やります!」と(笑)。
舞台『セールスマンの死』メインビジュアル
――舞台に出たいと思うようになったきっかけは、何かあったのですか。
鈴木:若い頃は舞台を観に行っても、どう観たら良いのか、何が面白いのかがあまり分からなかったんです。でも、いろんな仕事先でご一緒した俳優さんに、舞台のお話を伺ったり、出演されている作品を観に行ったりするようになり、40代50代になってから、やっと面白さが分かるようになってきたんですよ。
――25年前の初舞台『郵便配達夫の恋』(1997年)の思い出はありますか。
鈴木:とっても楽しかったですね。1ヵ所だけアドリブで、何か一言言って去るという場面があったんですが、そこで言う言葉を毎日考えてと演出家に言われまして、それが思い付かなくて、毎日苦しんでいたことをよく覚えています。「今日はいい天気」というくらいの簡単な一言なんですが、やっているうちにウケを取りたくなるじゃないですか。だけど、全然思い付かなくて、毎日スベっていた気がします(苦笑)。
――当時、舞台と映像の違いをどう感じましたか。
鈴木:舞台は、360度お客さんから見られているわけですが、映像ではどこにカメラがあるかが決まっていて、映らない側があるので、その違いを感じました。それは面白い点であり、同時に自分に足りない点でもあって、攻略法を見つけるところまではたぶんたどり着かなくて。だから、当時は正直、「舞台は当分いいや」と思いました(笑)。