『女子高生に殺されたい』原作・古屋兎丸×城定秀夫監督対談 「面白ければ改変OK」「田中圭さんがハマり役」
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危険な欲望に取り憑かれた高校教師の“完全犯罪”を描く漫画家・古屋兎丸の衝撃作『女子高生に殺されたい』が、実写映画となってスクリーンに登場。自身が殺される状況に興奮を覚えるという主人公・春人役には田中圭が抜てきされ、きわどい題材に真正面から挑みつつ、春人のターゲットへの恐ろしいほどの執着や、二面性を鮮やかに体現している。映画を鑑賞した原作の古屋は、「城定監督にお任せしてよかった」とメガホンをとった城定秀夫監督に感謝しきり。映画オリジナルの展開を見せる内容への思いや、田中の演技力についてなど、古屋と城定監督がお互いから受ける刺激をたっぷりと語り合った。
【写真】古屋兎丸の衝撃作を実写化『女子高生に殺されたい』フォトギャラリー
原作の改変は「面白くなっていれば全然OK」（古屋兎丸）
ーー城定監督は、古屋先生の漫画をデビュー作の『Palepoli』からリアルタイムで読んでいたそうです。本作の企画が舞い込んだときの感想を教えてください。
城定：まだ原作漫画が連載中に映画化の打診を受けたことがあり、そのときも「嘘でしょ？」という気持ちでした。その企画はさまざまな事情で流れてしまい悔しい思いをしていたので、こうして再びお話をいただけて「これはやるしかない」と運命的なものを感じました。もちろん、プレッシャーもありましたね。脚本も手掛けさせていただきましたが、プロデューサーたちと話し合いながら映画オリジナルの要素を足していますので、「先生の思いと違ったらどうしよう」という不安はかなりありました。
ーー映画オリジナルの要素が加えられた形で実写化されるということに関して、古屋先生はどのように感じられましたか？
古屋：僕は、“面白ければなんでもいい”という考えなんです。映画的に面白くなっているのであれば、変えていただいて全然OKというスタンス。第一稿を拝読させていただいて「こういう話の持っていき方があったか」と感心して。原作では、春人のターゲットとなる女子高生が誰なのかは最初から明らかになっているんですが、映画では「春人のターゲットは誰なのか？」という二重の意味でのミステリーが展開されます。「この手があったか」とものすごく面白く読ませていただきましたし、ラストも映画的に“映える”ものになっているなと思いました。
映画『女子高生に殺されたい』 （C）2022日活
ーー城定監督が、脚本の段階で大切にされたのはどのようなことでしょうか。
城定：春人のやりたいこと、そして春人がどうしてその女子高生に惹（ひ）かれていたのかという、彼らの過去の部分は、原作のまま残しておきたいと思っていました。プロデューサーから「古屋先生は『面白くしてくれるならば、好きにしてもらっていい』とおっしゃってくださった」と聞いていましたが、『面白くしてくれるならば』というのはなかなか怖い言葉でもあって（笑）。脚本の感想をお伺いするまでは怖い気持ちもありましたが、お褒めいただいてとてもうれしかったです。
古屋：僕は『アルプススタンドのはしの方』や『性の劇薬』など何本か城定監督の作品を拝見させていただいて、「この方ならば、本作の実写化をやっていただくにはぴったりだな」と思ったんです。映像の見せ方もとても美しいし、論理的に脚本を作られているなと。『女子高生に殺されたい』はいろいろな人の視点があったり、過去や性癖も描かれたりと、複雑な要素の詰め込まれた漫画です。さらに登場人物を増やして脚本を作るとなると、かなり至難の業だと思うんです。それを無駄なく、映画としてまとめてくれた。城定監督にお任せしてよかったなと思っています。
